自動化にも対応、部品に付着した水分を徹底的に乾燥させる真空乾燥機:FAニュース
スギノマシンは、真空を利用して、部品に付着した水分を乾燥させる真空乾燥機「EVADRY EVD-22A」の販売を開始した。オートシャッター搭載による自動搬送への対応や、消費電力の低減により自動化や省エネのニーズに応える。
スギノマシンは2022年1月11日、真空を利用して、部品に付着した水分を乾燥させる真空乾燥機の新機種「EVADRY(エバドライ) EVD-22A」の販売を開始した。自動車などの各種金属部品や樹脂部品を完全乾燥し、さびやシミの発生を防止する。
左:真空乾燥機「EVADRY EVD-22A」、右:ロボット洗浄機との組み合わせ 出所:スギノマシン
EVADRY EVD-22Aは、気圧を下げると水が100℃よりも低い温度で沸騰する原理を利用した小型乾燥機。機内を真空状態にすることで、部品の深部やタップ穴に残る水分まで徹底的に蒸発させて乾燥できる。さらに、真空ポンプの排熱を利用して機内の温度を上げることで乾燥効率を高める。
深部まで徹底的に蒸発させて乾燥[クリックで拡大] 出所:スギノマシン
ワークをセットして稼働するだけの簡単な機構に加え、オートシャッターを搭載したことで、ロボットやガントリーローダーを用いたワークの自動搬送にも対応可能。また、一般的な乾燥方法であるエアブローと比較して消費電力が少なく、自動化や省人化、省エネのニーズに応え、コストの削減に貢献する。
真空ポンプ出力は2.2kWで、真空到達圧力は1.3kPa以下となる。本体は600×1450×1150mmと小型で設置場所を確保しやすく、キャスターにより移設も容易だ。真空槽のサイズは400×370×280mmで、扉は自動で開閉可能。運転時間は、最大15プログラムまで設定できる。
部品洗浄機との組み合わせ 出所:スギノマシン
- 進む製造機械の「知能化」、学習済みAIを搭載する動きが拡大へ
AI(人工知能)の活用が広がりを見せている。こうした中で、新たな動きとして定着が進んでいるのが、工作機械や射出成形機など、製造機械へのAI機能の組み込みである。2022年はこうした動きがさらに加速し、AIの学習までを機械メーカーが担って出荷する動きが進む見込みだ。
- 進む産業機械のスマートフォン化、標準化とオープン化がカギに
スマート工場化が進む中、工場内の生産機械や設備にも生産情報や設備情報などを活用するために「つながる」ことが求められるようになってきている。こうした環境に合わせる形で、生産機械についても協調領域については「水平分業型」へのシフトが加速する見込みである。
- 半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか
法政大学イノベーション・マネジメント研究センターのシンポジウム「海外のジャイアントに学ぶビジネス・エコシステム」では、日本における電子半導体産業の未来を考えるシンポジウム「海外のジャイアントに学ぶビジネス・エコシステム」を開催。半導体露光機業界で日系企業がオランダのASMLに敗れた背景や理由について解説した。
- ナノスケールのちりの影響を抑制、半導体製造装置が目指すIoT活用
「SEMICON Japan 2016」のIoTイノベーションフォーラムで登壇した東京エレクトロン執行役員の西垣寿彦氏は、半導体製造における“ちり”の管理と、IoTを使った生産性向上の取り組みについて紹介した。
- 工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?
工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。
- 工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。
- アップルVSサムスン訴訟を終わらせた日本の工作機械の力
知財専門家がアップルとサムスン電子のスマートフォンに関する知財訴訟の内容を振り返り「争う根幹に何があったのか」を探る本連載。最終回となる今回は、最終的な訴訟取り下げの遠因となった「新興国への技術移転」の問題と「なぜ米国で訴訟取り下げを行わなかったのか」という点について解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.