次に、“軽くて強い梁”を設計する問題について考える。ここで、梁の長さLは固定とし、断面は矩形(各辺の長さb)で、曲げ剛性がある目標値S*よりも大きいという制約条件の下に、質量を最小化する設計問題に置き換えると、図5のように定式化できる。最終的には、Mという設計指標(密度と縦弾性係数で表現)が導出でき、この値が大きい材料を選択することになる。このような手順を導入することにより、設計の早い段階で適切な材料選定を可能とする。
今回は、連載第1回ということで設計のプロセス、製品設計の構成を通してモデリングを考えた。これらを通して、モデリングとは設計(デザイン)そのものであることが理解できたのではないかと思う。すなわち、
モデリング=設計(デザイン)
と考えることができる。
また、モデリングとは、3つの事例で紹介したように、知りたいこと、すなわち、価値モデルでは製品の各要素の価値、コストモデルでは部品1個当たりのコスト、性能モデルでは“軽くて強い梁”を支配する指標を明確にして、これに向けて分かっている情報から知りたいことを予測する行為と考えることができる。すなわち、モデリングとは、図6に示すように、知りたいことを出力(Y)、分かっている情報を入力(X)として、両者の関係を定義する行為だと考えられる。
次回は、1Dモデリングとは? について、3つのモデリング、すなわち、0D、1D、3Dのすみ分け、1Dモデリングの基本となる1DCAEの考え方についてお話しする。 (次回へ続く)
大富浩一(https://1dcae.jp/profile/)
日本機械学会 設計研究会
本研究会では、“ものづくりをもっと良いものへ”を目指して、種々の活動を行っている。1Dモデリングはその活動の一つである。
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