スペースデータは、デジタル上に国際宇宙ステーションを再現した「バーチャル国際宇宙ステーション」を、東北大学工学部に無償提供した。宇宙ステーション内ロボットの設計、制御技術の研究に活用される。
スペースデータは2025年2月18日、東北大学工学部航空宇宙工学専攻に対して、デジタル上に国際宇宙ステーション(ISS)を再現した「バーチャル国際宇宙ステーション」を無償提供したと発表した。
東北大学では、宇宙機や探査ロボットなどのプロジェクトに携わっており、宇宙環境下で動作するロボットの設計や制御技術を研究している。今回、バーチャルISSの3Dモデルを活用して、宇宙ステーション船内移動ロボットのシステム設計および無重力環境下での制御技術への利用を予定している。
宇宙ステーション内移動ロボットは、宇宙飛行士の作業負担の軽減と自動化の推進に貢献する。従来のフリーフライヤー型ロボットでは困難だった精密作業ができ、グラフ理論を応用した経路計画アルゴリズムで摩擦のない微小重力環境でも効率的に貨物を運搬できる。
また、同大学では急斜面や無重力環境で活動する多脚ロボットの安定性を向上させる制御技術を開発しており、月面探査でのサンプル回収や、宇宙ステーション内での人や物体との衝突回避など、過酷な環境でのロボット活用への応用が期待される。
バーチャルISSは今回、宇宙ロボット開発者向けにアップデートしており、運用試験や技術検証ができる。また、JAXAが開発した宇宙ロボット「Int-Ball2」のモデルが含まれており、センサーや駆動系のソフトウェアインタフェースを実機と同様に再現している。
さらに、地上ロボットの開発に使われるROS(Robot Operating System)に対応。シミュレーターのプラットフォームにはNVIDIAの「Isaac Sim」を採用し、AI(人工知能)技術などの開発も容易にできる。
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