ドンキのPB家電メーカーが開発、主婦目線で作った水拭き掃除機と2色鍋イノベーションのレシピ

ドン・キホーテのプライベートブランド製品などを開発するアズマは2021年10月29日、在宅勤務増加に伴う主婦層の悩みや課題を解決する新ブランドを発表した。水拭き掃除ができるコードレスモップクリーナー「Water CyCleaner」と、仕切り付きの「2食おやこ電気なべ」をそれぞれ発売する。

» 2021年11月04日 09時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 ドン・キホーテのプライベートブランド(PB)製品などを開発するアズマは2021年10月29日、在宅勤務増加に伴う主婦層の悩みや課題を解決する新ブランド「LTMs(リトマス)」と「NATUUL(ナチュール)」の2つを発表した。LTMsブランドとして水拭き掃除ができるコードレスモップクリーナー「Water CyCleaner」を、NATUULブランドとして仕切り付きの調理鍋「2食おやこ電気なべ」をそれぞれ発売する。

3人の主婦チームが製品企画

 アズマは1978年に創業したファブレスの家電メーカーである。創業当初は家電の二次卸業を営んでいたが、現在では全国チェーンのディスカウントストアであるドン・キホーテをはじめ、ヤマダデンキ、カインズホームなどのPB製品を開発している。

 これまでアズマでは家電ブランドとして「EAST」「suitU」「cotto」を展開してきた。これらの製品は家電販売店などを通じて販売した他、2019年からはECサイトで直販も行っている。

 今回発表したLTMsとNATUULは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受けて在宅勤務が増加した家庭などを念頭に、より快適な日常生活を支援する“在宅家電”を展開する家電ブランドとして構想された。LTMsは日常に潜む小さな悩みの解決を手助けすることで「暮らしを整え、心地よく変える」を、NATUULはシンプルで使いやすい製品による「ちょっといいモノ、いい暮らし」をブランドコンセプトとしている。

 これらの製品企画立案はアズマに在籍する3人の主婦が担当している。両ブランドともに、主婦ならではの視点を取り入れた製品開発を目指しているという。

2層タンク搭載の水拭き用スティッククリーナー

片手で持てるWater CyCleaner[クリックして拡大]

 Water CyCleanerはヘッド部分にマイクロファイバーモップを搭載した、コードレスの水拭き用スティッククリーナーである。クリーナーに内蔵されたタンクからモップに自動注水が行われ、モップ部分が毎分400回転することで床の汚れを落とす。自走式のため、片手でも扱いやすい。

 サイズは304×180×1210mmで、重量は2.4kg。約3時間の充電で約25分間の連続使用が可能になり、最大55畳程度の面積を掃除できる。メーカー希望小売価格は1万4800円(税込み)。

 タンクは浄水/汚水の2層タンク構造となっている。モップに付着した汚れはヘッド内部にあるワイパーが絞り取り、汚水タンクへと自動で送られる。その後、モップには浄水タンクから水が送られてくるため、常にきれいな水を使って掃除ができる。

モップ部分の分解イメージ(左)と2層構造のタンク(右)[クリックして拡大]

 アズマ 常務取締役 事業部本部長 Exective Directorの小川大介氏は「水拭き掃除をすると床がサラサラになり、ついつい寝ころびたくなるほど快適な状態になる。ただ、腰をかがめて雑巾掛けをするのは身体に負担が掛かる。Water CyCleanerであれば手間を省き、スイッチ1つで水拭きができるようになる」とメリットを説明した。

子供がいても、辛い鍋料理を楽しめる

アズマの小川氏

 2食おやこ電気なべは味の異なる2種類の鍋料理を、1つの鍋で味わえるという製品だ。小川氏は製品コンセプトについて「子どもがいると辛い物を食べたくてもついつい遠慮してしまい、なかなか食べられないという声も多い。子供には辛くない料理を楽しんでもらいつつ、大人も辛い料理を味わえる製品として構想した」と説明する。

 IHとガスコンロによる加熱の両方に対応しており、状況に応じて時短調理が行える。サイズは385×323×220mmで、ガラスふたを含めた本体重量は3.9kg。鍋の容量は4l(リットル)で、仕切り板を付けることで2区画に分けて使用できる。鍋の部分はたこ焼きプレートやグリルプレートなどにも交換可能だ。メーカー希望小売価格は9980円(税込み)。

2食おやこ電気なべの全体図[クリックして拡大]

 開発時の工夫点として小川氏は「複雑な機能を搭載せずに、シンプルな操作で簡単に鍋料理が楽しめるようにした。また、他社の2色なべは仕切りが低く、調理中にスープが混ざってしまう恐れがある。製品企画を担当した当社の主婦らは、この仕切り板を高くすることで問題を解決することにこだわった」と語る。

 これら2製品は、アズマがドン・キホーテをはじめとするPB製品を開発する中で蓄積してきたノウハウを活用しているという。「PB製品開発では手ごろな価格帯と、他社にはない特徴の取り入れを両立させる必要がある。こうした厳しい制約下で培った知見に加えて、主婦独自の視点を織り交ぜた製品を開発、展開できる」(小川氏)。

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