雨に耐えるダンボールテントは再組立も可能、東洋製罐が“捨てる”を意識し開発イノベーションのレシピ(1/2 ページ)

東洋製罐グループが被災地から観光地までさまざまなシーンで活用できる組立式ダンボールテント「DAN DAN DOME」を開発。4畳半(江戸間)ほどの広さと大人が立っても頭がぶつからない十分な高さを持つドーム型テントで、東洋製罐グループの技術力を生かした直感的な組立作業や降雨に耐え得る耐水性などが特徴だ。

» 2021年08月17日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 東洋製罐グループホールディングス(以下、東洋製罐グループ)は2021年8月16日、東京都内で会見を開き、被災地から観光地までさまざまなシーンで活用できる組立式ダンボールテント「DAN DAN DOME」を開発したと発表した。4畳半(江戸間)ほどの広さと大人が立っても頭がぶつからない十分な高さを持つドーム型テントで、東洋製罐グループの技術力を生かした直感的な組立作業や降雨に耐え得る耐水性などが特徴。2021年秋ごろから一般販売を始める。想定価格は15万〜20万円。

組立式ダンボールテント「DAN DAN DOME」 組立式ダンボールテント「DAN DAN DOME」。隣に立っているのは開発を担当した日本トーカンパッケージの佐藤康博氏(クリックで拡大)

 DAN DAN DOMEは、組み立て後のテントのサイズが幅3600×奥行き3600×高さ3085mmとなる。屋外への設置を想定した耐水モデルである「STANDARD」の他、災害時の避難所など屋内設置を前提とする「LITE」、STANDARDをベースに内外の表面の突起がほぼなくなるインナールーフをオプションとして組み込んだ白色の「ART」の3モデルをラインアップした。

 キャンプ場や街中、撮影現場、フェス仮設テントなど屋外での設置を想定するSTANDARDは、東洋製罐グループが紙コップ向けに開発した紙に薄い樹脂をラミネートする技術を応用したダンボール「たもっちゃん」を採用して耐水性を確保した。丁寧に解体すれば、再び組み立てて利用することも可能な仕様となっている(再組み立ての可否は使用後の状態による)。また、一般ダンボールと同様にリサイクル可能なので、分別ごみとして廃棄できる。

「STANDARD」の外観「STANDARD」の屋内 「STANDARD」の利用イメージにおける外観(左)と屋内(右)(クリックで拡大)

 一方のLITEは、耐水性を持たない一般的なダンボールを採用するとともに、再組み立てには対応していない。これらのことを除いた構造とスペックはSTANDARDと同等である。

「LITE」の外観「LITE」の屋内 「LITE」の利用イメージにおける外観(左)と屋内(右)(クリックで拡大)

 ARTは、インナールーフによって内外の突起がほぼなくなることで居住性が向上する他、ドーム内部へのプロジェクター投影などが可能で、小型プラネタリウムとして利用することもできる。印刷やペイントにも対応する白色の外壁テクスチャーは、アート創作、プロモーションメディアにも活用可能とする。

「ART」の外観小型プラネタリウムとして利用できる 白色モデルの「ART」の外観(左)。インナールーフにより小型プラネタリウムとして利用できる(右)(クリックで拡大)

 3モデルとも、車座になれば約10人が中に入れるほどのサイズだ。避難所などで用いられる防災スフィア基準では約2.5人に相当する。組み立て前は、最大で縦1600〜1700×横900×高さ100mmの7つのパッケージに各パーツが収められており、これらは自動車の後部座席に搭載可能なサイズになっている。パーツ同士の組み立ては、接続部を押し込むだけでしっかりつながるなど、東洋製罐グループの技術力を生かして直感的に組み立て作業を行えるようにしたという。

組み立て前の「DAN DAN DOME」のパーツが入ったパッケージ 組み立て前の「DAN DAN DOME」のパーツが入ったパッケージ(クリックで拡大)
「DAN DAN DOME」のパーツを接続する様子。工具などを使わずに組み立てられる(クリックで再生)
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