パナソニック アプライアンス社は2021年4月22日、社内外で生まれた新しいビジネスアイデアを事業化まで導く社内アクセラレーションプロジェクト「ゲームチェンジャー・カタパルト」に関する説明会を開催した。顧客課題や社会課題解決に寄与する新たな事業アイデアを社内のビジネスコンテストで公募し、有望なアイデアの事業化を目指す。
パナソニック アプライアンス社は2021年4月22日、社内外で生まれた新しいビジネスアイデアを事業化まで導く社内アクセラレーションプロジェクト「ゲームチェンジャー・カタパルト」に関する説明会を開催した。顧客課題や社会課題解決に寄与する新たな事業アイデアを社内のビジネスコンテストで公募し、有望なアイデアの事業化を目指す。
ゲームチェンジャーカタパルトは、新たな価値提供を実現する「未来のカデン」のアイデアの募集と事業化を目的として、5年前にスタートしたプロジェクトである。プロジェクトチームはアプライアンス社の各事業部を直轄する事業開発センターに設置されている。チームの専任メンバーは10人ほどで、海外マーケティングや経営企画、ソフトウェア/ハードウェアエンジニア、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナー、知財業務経験者などで構成されているという。
「カデン」とは、一般的な家電製品だけでなく、暮らしを支えるサービスやコンテンツ全般を含めた概念である。カデンが対象とする範囲は広く、家事支援や育児/教育、食事、健康や美容、スポーツやフィットネスなどを含む。アプライアンス社の将来的なゲームチェンジにつながる戦略的なアイデア、あるいは応募者自身が解決の必要性を感じる社会課題や顧客課題に関するアイデアを社内から広く募る。
アイデアはアプライアンス社内で開催するビジネスコンテストを通じて社内公募する。2021年のコンテストスケジュールにおいては、まず2021年4〜6月上旬にかけてエントリーシート提出を受け付け、ピッチ審査を行う。審査を通過した事業アイデアは、応募者自身が事業化に向けた取り組みを社内業務として進める。7〜9月にかけて事業計画書の作成、検討を行い(第1フェーズ)、10〜12月にかけてプロトタイプを開発する(第2フェーズ)。想定顧客層へのヒアリングや、SXSW(South by Southwest)やTOA(Tech Open Air)などグローバルな展示会への出展を通じて受容性検証なども行う。
この他、外部講師を招いたブートキャンプやメンタリングの取り組みを通じて、新規事業に必要なマインドやスキルセットの育成を行うなどパナソニック アプライアンス社独自の取り組みも行っている。
応募実績は過去5年間で累計220件ほど。その中から毎年4〜5個のアイデアを選定し、展示会などでプロトタイプを公開している。
事業化に向けた具体的な進め方は3通りある。1つ目はパナソニック内の各事業部内で、2つ目は事業開発センターでそれぞれ事業化を目指すというものだ。そして3つ目が、アプライアンス社や米VC(ベンチャーキャピタル)のスクラムベンチャーズ、産業革新投資機構の子会社INCJが共同で設立したBeeEdgeの協力を受けて、新しく事業会社を設立し、事業化するという方法である。
BeeEdgeを通じて設立した企業には、ホットチョコレートドリンクマシンを製造するミツバチプロダクツ、調理器具「DeliSofter(デリソフター)」を手掛けるギフモ、リハビリ用歩行トレーニング器具メーカーであることほの3社がある。
例えば、DeliSofterは家族の介護を経験した社員が「介護者も被介護者も家族みんなで同じものを食べたい」という思いから構想した調理器具である。肉や野菜を、味や見た目はそのままに柔らかくすることで、飲み込む力が弱った高齢者でも安心して食せる料理を調理できる。
BeeEdgeを通じた新会社設立は、特に顧客からのフィードバック獲得とそれを受けた修正を短期サイクルで高速に回す場合に最適な形式だという。新設した事業会社は事業売却などのイグジット(出口戦略)を目指すことになるが、この際、パナソニックが買収する可能性もあるという。
ゲームチェンジャーカタパルトの取り組みの意義について、パナソニック アプライアンス社 事業開発センター 事業総括の真鍋馨氏は「ゲームチェンジャー・カタパルトでは『Unlearn&Hack』を掲げている。Unlearnとは固定観念にとらわれず顧客が必要とする暮らしの価値を実現するということ、Hackとは自社の殻に閉じこもらずに他社と協創を進めることにこだわるという意味合いを込めており、こうしたコンセプトに基づいた新規事業創出を目指したい」と語った。
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