NECの技術はシリコンバレーで花開く、シーズから起業を狙う「NEC X」イノベーションのレシピ(1/2 ページ)

NECは2021年5月18日、NECの先端技術を中核とする新事業創出を目的に設立したNEC Xの説明会を開催した。NEC Xはシリコンバレーの起業家や投資家のエコシステムを活用することで、これまでに3社の事業化に成功している。説明会ではNEC Xと米国トップアクセラレーターであるAlchemist Acceleratorとのパートナーシップ連携についても発表した。

» 2021年05月20日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 NECは2021年5月18日、NECの先端技術を中核とする新事業創出を目的に設立したNEC Xの説明会を開催した。NEC Xはシリコンバレーの起業家や投資家のエコシステムを活用することで、これまでに3社の事業化に成功している。説明会ではNEC Xと米国トップアクセラレーターであるAlchemist Acceleratorとのパートナーシップ連携についても発表した。

NECの技術資産をベースに起業を目指す

 NEC Xは2018年7月に米国カルフォルニア州パロアルト市(シリコンバレー)にて創業した企業で、現在、同社のPresident CEOは井原成人氏が務めている。企業目的はNECの保有する技術を基盤として、顧客ニーズをとらえた事業展開を行う新企業の創業にある。NECがR&D(研究開発)活動を通じて生み出した技術を基に、シリコンバレー現地の投資家や客員起業家(EIR)、アクセラレーターの協力を得て事業創出に取り組む。

シリコンバレーで事業創出を狙うNEC X※出典:NEC[クリックして拡大]

 シリコンバレーでの創業を目指すのは、同地域のスタートアップエコシステムを活用することで事業化と事業成長を迅速に推進できると考えるからだ。新企業ではNECの意欲ある研究者や技術者に加えて、既にスタートアップ立ち上げ経験のあるEIRや、大企業での新事業立ち上げ経験のある人材などが事業面でバックアップする。この他、新企業に関わるアドミンナレッジが豊富なメンターや、デザインシンキングアプローチで顧客課題を掘り下げるデザインリサーチャーなどの人材も加わって事業成長を狙う。外部資金を取り入れる場合は投資家やベンチャーキャピタル(VC)なども参加する。

NECの研究者や技術者に加えてEIR、サポーターが事業化を支援※出典:NEC[クリックして拡大]

技術と起業家らのマッチング

 創業までの具体的な流れは次の通りである。まず、NECの技術と、それに対して事業性を見込むEIRとの間でマッチングを行う。NEC Xのメンバーが個別に面談を行ってマッチング候補となるEIRのリストを作成しており、現在100名ほどのEIRとのつながりがあるという。マッチングはオープンイノベーション促進の場としてNECが開催するリアルイベント「Tech Showcase」などを通じて行う。現在は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により対面でのやりとりが難しいため、オンラインで小規模なマッチングイベントを複数回開催するなどで代替している。

 その後、2〜3カ月の期間で100人程度を目標に、想定顧客へのヒアリングを行う顧客発見プロセスを実施。顧客課題を把握して、それを基にしたビジネスモデル構築を行う。この段階で十分な事業成長が見込めないと判断した場合はプロジェクトを中止する。次に、顧客との対話を通じて製品やサービスのプロトタイプを開発する顧客実証プロセスへと進み、順調にいけば事業化となる。

創業までの流れ※出典:NEC[クリックして拡大]
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