ホンハイがEV参入、シャオミも? 「私たち以外」にとってのクルマとは:自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)
さて、今週MONOistで公開した記事についても紹介していきます。まずはトヨタ自動車東日本 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地で工事がスタートした「Woven City(ウーブンシティ)」です。
スマートシティについては、Google(グーグル)と同じAlphabet(アルファベット)傘下のSidewalk Labsが、カナダのトロントでのプロジェクトから撤退しています。街や住民のデータをどのように集めて誰が保有し、どのように保護するのかという批判があっただけでなく、投資について自治体と折り合いがつかなかったといわれています。ウーブンシティのように企業の敷地内のプロジェクトであれば、Sidewalk Labsと同じ失敗は起こり得ないでしょう。
ただ、よく耳にするのは「ウーブンシティはあまりにも小さすぎるのではないか」という意見です。例えば中国は、北京から南西に100kmほどのところに「雄安新区」という都市を建設しています。雄安新区は自動運転車のみが走行できる街という特徴があります。物流の無人搬送車なども域内を走っているそうです。最終的な敷地面積として計画しているのは1770km2で、香川県よりも少し面積が小さいという規模で新しい街づくりが進んでいます。中国に拠点のある企業にも実証への参加を前提とした入居を打診しているそうです。敷地のうちオフィス・住宅エリアが3割、森林・湖エリアなどが7割とし、居住人口は当初100万人、2035年には250〜300万人を目指します。
ウーブンシティの面積は70.8万m2で、2000人以上が暮らすという想定ですので、雄安新区とは規模が全く違います。企業の敷地で小さく始めることと、日本の県に匹敵する広さの街を作りながらスマートシティを試していくこと。目的が違うのでどちらが正しいわけでもありませんが、それぞれどんな収穫があるのか、楽しみですね。
今週は、EVのバッテリーマネジメントに関する記事も掲載しました。3月第1週に詳細な解説記事を公開する予定ですが、リチウムイオン電池はさまざまな要因によって異常な発熱を起こし、発火してしまうことがあります。ただ、実際に発火事故が起きた後に原因を特定するのは難しいと言われています。そのため、どのようにリチウムイオン電池の異常な発熱や発火を防ぐかという対策だけでなく、何か起きたときの被害をいかに小さくするかという面での対策も求められています。
バッテリーマネジメントシステムに携わるサプライヤーもまさにその姿勢で、バッテリーマネジメントにも自動車の機能安全規格ISO 26262で最も厳しい安全要求レベルASIL(Automotive Safety Integrity Level) Dを満たすことが必須だと指摘しています。
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→過去の「自動車業界の1週間を振り返る」はこちら
- ダイソンEV撤退をケーススタディーとして考える
EVを開発すると宣言し、撤退した案件としては、投資額や雇用人員ともダイソンがこれまで最大規模であり、この撤退の真因に迫ることは、今後のEV開発に極めて重要ではないかと考えた。あくまで筆者の見立てであるが、元EV開発の経験からダイソンEV撤退をケーススタディーとして、EV開発の困難さおよび事業の難しさについて考えてみたい。
- フォックスコン顧問が語る“失われた20年”が生んだ日本の未来とは?
日本のモノづくり環境は大きな変化を迎えている。多くのグローバル企業から製品組み立てを請け負うグローバル製造業から見たとき、日本のモノづくりの価値はどう映るのだろうか。フォックスコン顧問を務めるファインテック代表取締役社長の中川威雄氏は「“失われた20年”で苦しんだ経験こそが世界が欲しがる貴重なものだ」と指摘する。
- リチウムイオン電池を車載用にするための幾つものハードル、そして全固体電池へ
クルマのバッテリーといえば、かつては電圧12Vの補機バッテリーを指していました。しかし、ハイブリッドカーの登場と普及により、重い車体をモーターで走らせるために繰り返しの充放電が可能な高電圧の二次電池(駆動用バッテリー)の重要性が一気に高まりました。後編では、ニッケル水素バッテリーの欠点だったメモリ効果をクリアしたリチウムイオンバッテリーについて紹介します。
- なぜリチウムイオン電池は膨らむ? 電解液を劣化させる「過充電」「過放電」とは
電池業界に携わる者の1人として、電池についてあまり世間に知られていないと感じる点や、広く周知したいことを、ささやかながら発信していきたいと思います。まずは連載第1回となる今回から数回にわたり、私たちの生活には欠かせない「リチウムイオン電池」の安全性について解説していきます。
- ニッケル水素は駆動用電池でまだまだ現役、長寿命化の課題「メモリ効果」とは
クルマのバッテリーといえば、かつては電圧12Vの補機バッテリーを指していました。しかし、ハイブリッドカーの登場と普及により、重い車体をモーターで走らせるために繰り返しの充放電が可能な高電圧の二次電池(駆動用バッテリー)の重要性が一気に高まりました。前編では、ニッケル水素バッテリーを中心に、その特徴や技術的な課題を紹介します。
- トヨタがデジタルツインで街づくり、移動、生活、インフラの新技術を試す
トヨタ自動車は消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2020」(2020年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)において、静岡県裾野市に設置する実証都市「コネクティッド・シティ」のプロジェクトを発表する。モノやサービスをつなげる環境を整え、実際に人が住んで生活しながら、自動運転車やカーシェアリング、コネクテッドカー、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホームなどの活用に向けた実証を行う。
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