自動車メーカーの2020年度上期決算も出そろいました。業績など数字の面はもちろんですが、社長自ら出席して見解を語る自動車メーカーも多く、濃い決算会見が続きました。トヨタ自動車 社長の豊田章男氏は業績以外のさまざまなテーマについて語りました(記事はこちら:トヨタ章男社長が語った、東富士の「ウーブンシティ」やテスラへの思い)。トヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地に建設する「Woven City(ウーブンシティ)」のこと、多くのメディアがトヨタと対立構造で語りたがるテスラのことなど、話題は幅広かったです。
自動車メーカーでは最後に決算を発表した日産自動車は、また違う雰囲気でした。2020年度通期の業績見通しを上方修正したとはいえ、巨額の最終赤字であることには変わりません。そのせいか、好材料を前面に出したプレゼンテーションだったという印象を持ちました。上期の6カ月間の説明よりも2020年7〜9月期の3カ月間で業績や販売がいかに改善したかを解説したり、米国での販売の質の改善が進んでいることを強調して示したりしていました。
とはいえ、新型車の投入が続くことはプレゼンテーションの見せ方云々に関係なく前向きな材料です。自動車メーカー各社に活気が戻るのを期待したいと思います。
決算会見でよく話題に上るのが、原価低減です。決算を発表するたびに「トヨタはサプライヤーに苦労を強いながら、もうけすぎているのではないか」という意見が聞かれますね。このことは、自動車関連の業界用語を解説する連載を書いてもらっているカッパッパ氏とも何度か話していました。カッパッパ氏はまさにサプライヤーの立場だったからです。
「下請けたたきかどうか、反論というと物騒だけど、“中の人”の目線で語ってもらえませんか」と相談して書いてもらったのが「コロナ禍でも圧倒的に強いトヨタ、「下請けたたき」は本当か」です。力作ですのでぜひご覧ください。それでも下請けたたきだという人、原価管理のきめ細かさが勉強になったという自動車業界以外の人、「ソフトウェアのコストの査定はどうなるのか」と指摘する人など、すでにさまざまな反応がありました。
最後に新しく公開した電子ブックレットの紹介です。電子ブックレットというのは、特定のテーマの記事をPDFにまとめて一気に読めるようにしたものです。会員登録が必要ですが、無料で読めます。だいたい1カ月に1回のペースで新しい電子ブックレットを公開していますが、今回は「電気自動車と超急速充電」というテーマです。
走行距離やパワーを重視した電動車が増えるにつれて、バッテリー容量が大きくなります。急速充電が高出力化しなければ、大容量バッテリーの電動車は充電時間が長くなり不便です。そこで、急速充電の高出力化に関する記事や連載をピックアップして1本の電子ブックレットにしています。電動車の専門家である和田憲一郎氏による詳しい取材記事も読めます。こちらもぜひ読んでいただけると大変うれしいです。
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