インターネット経由で誰とでもつながる時代。個人が持つ端末はワイヤレス接続が大半を占めていますが、オフィスなどではいまだに有線によるローカルエリアネットワーク(LAN)が使われています。そのLANの基盤技術の1つとして広く使われているイーサネット(およびTCP/IP)が、次世代の車載ネットワーク技術として注目を浴びています。本稿では注目される背景、役割や規格動向から、関連するプロトコルの概要まで、複数回にわたり幅広く解説していきます。
インターネット経由で誰とでもつながる時代。個人が持つ端末はワイヤレス接続が大半を占めていますが、オフィスなどではいまだに有線によるローカルエリアネットワーク(LAN)が使われています。そのLANの基盤技術の1つとして広く使われているイーサネット(およびTCP/IP)が、次世代の車載ネットワーク技術として注目を浴びています。本稿では、車載イーサネットが注目される背景、役割や規格動向から、関連するプロトコルの概要まで、複数回にわたり幅広く解説していきます。
衝突被害軽減ブレーキの登場から数年がたち、現在では複数の自動運転支援機能を統合した自動運転レベル2に相当する自動運転支援システムの採用など、クルマの高機能化の波が止まりません。これに拍車を掛けているのが皆さんも最近よく耳にする言葉「CASE」で、自動車業界に大きな変革を促すConnected、Autonomous、Shared&Services、Electricの頭文字をとったものです。
クルマがより便利になるために外の世界とつながり、自動化とともに電動化が進んでいく、その対応のため、車載ネットワークやE/E(電気/電子)アーキテクチャが大きな変化を遂げようとしています。具体的な影響、変化として、以下のような点が挙げられます。
これはつまり大量の情報を、必要としている相手により速く届ける必要が出てきたということです。ただし、その相手はネットワークのどこに存在するかは不明で、固定ではありません。
将来の完全自動運転車が搭載する数多くのセンサーから送り出されるデータ量に対応するには、数Gbpsもの通信速度が必要になるといわれています。現在の車載ネットワークプロトコルの主流であるCANの通信速度は、より高速になったCAN FDでも最大8Mbpsですので、当然さばききれません(※1)。そして何よりCANは、バス上に情報をとにかく送り出し、それを必要であれば取り込むという形をとっているため、特定の相手だけを狙って情報を届けるという仕組みがないのです。そしてこの「特定の相手だけに」という点は、情報が多くなればなるほど重要になってきます。
(※1)とはいえ、現在、通信速度10Mbps以上を目指したCAN XLという新しい規格の策定も進んでいます。
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