上述の「大量のデータ」を「より速く」「ネットワーク上のどこかにいる」「それを必要としている相手にだけ届ける」ことは、いうなればクルマの中にインターネットに似た仕組みを作るということです。
そうであれば、現在のインターネットの基盤技術の1つであるイーサネット(および同時に使われることの多い上位プロトコルであるTCP/IP)に白羽の矢が立つのは、当然の帰結でしょう。そして、下記のような役目を担うために超高速なデータ通信を提供することが、イーサネットには期待されています。
これらのユースケースを支えるべく検討されているE/Eアーキテクチャの例を示します。
さて、ここまで「イーサネット」という言葉を当然のように使ってきましたが、「イーサネット」とは何なのでしょうか。例えば、社内LANなどを指して漫然と「イーサネット」と言ってしまうのは、ネットワークプロトコルに詳しい皆さんにとってみれば、あまり褒められた言い方ではないかもしれません。その理由は、前段落の「イーサネット(および同時に使われることの多い上位プロトコルであるTCP/IP)」という一文にあります。
本稿が掲載される頃には、令和という新しい時代が始まり、平成が幕を閉じているはずですが、その平成の始まる少し前、昭和の末期(1983年)にIEEEで規格化されたのがIEEE 802.3 CSMA/CD(Ethernet)(※2)です。これはバス型接続を同軸ケーブルによって構成したネットワークの規格であり、現在のLANでは、これをベースにスイッチ(スイッチングハブ、レイヤー2スイッチ)により構成したネットワークに、上位プロトコルTCP/IPを組み合わせて使っているのが一般的です。そのため、いわば、LAN≒イーサネット+TCP/IPを「イーサネット」と呼んでしまっているということが少なからずあると思いますが、本来は一部を指している言葉なのです。
(※2)出典:IEEE 802.3 CSMA/CD (Ethernet) Working Group, March 9, 2006(http://www.ieee802.org/3/an/public/mar06/iso_2_0306.pdf)の表記より
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