5G 人からモノへ 〜「未踏の時代」迎えた無線技術 特集

新たなメイドインジャパンで世界に、NTTとNECが資本業務提携製造マネジメントニュース

NTTとNECは2020年6月25日、革新的光・無線技術を活用したICT製品の共同研究開発とグローバル展開を目的とした資本業務提携に合意したと発表した。

» 2020年06月26日 06時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 NTTとNECは2020年6月25日、革新的光・無線技術を活用したICT製品の共同研究開発とグローバル展開を目的とした資本業務提携に合意したと発表した。

 中長期で研究開発に取り組むため、NTTはNECに出資する。出資比率は4.8%。通信キャリアとメーカーで協力し、それぞれの強みを生かしてオープンアーキテクチャ(O-RAN Alliance仕様)の通信システムを開発していく。普及が進む5Gだけでなく、「6G」を見据えた新たなネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」の実現に向けても協力していく。

写真左からNECの新野隆氏とNTTの澤田純氏(クリックして拡大)

 両社で共同開発するテーマのうち、情報通信機器に組み込む小型光集積回路(DSP)は今後2〜3年で製品化し、グローバルに販売する。また、O-RAN仕様準拠の基地局も共同開発し、2030年にグローバルシェア20%を目指す。5Gがグローバルで普及していく中において、オープンアーキテクチャは柔軟で十分な競争力があるとしている。

 また、IOWN構想の実現に向けて、光・無線技術を活用した革新的なデバイスを基地局に搭載し、超高速処理や調停遅延、超低消費電力を達成する。また光・無線デバイスの開発の一環で、海底ケーブルシステムの大容量・高機能化とコスト低減、宇宙通信の大容量・低遅延化や自律化、インフラネットワークのセキュリティ高度化などに取り組む。

 現在は通信事業者が通信機器ベンダーに専用品を発注する“垂直統合モデル”が中心だ。NTT 代表取締役社長 社長執行役員の澤田純氏は「これによってイノベーションが進みにくくなっている。垂直統合モデルを通信キャリア主導で変えていきたい。米中が厳しい状況にあるが、日本発で世界に通用する付加価値の高いシステムを作っていきたい」と業務提携の狙いを語る。

 NEC 代表取締役 執行役員社長兼CEOの新野隆氏は「オープンアーキテクチャは5Gでグローバルに出ていく最後のチャンスだ。資本業務提携でとても心強いパートナーを得られた」とコメントした。

 NTTはNECが実施する新株式の発行と自己株式の処分の第三者割当を引き受けることにより、NECに出資する。NECは戦略保有株式を持たない方針のため、NTTに出資しない。NTTからNECへの追加出資は予定しておらず、今後さらに研究開発費が必要になった場合は出資比率を上げるのではなく、売り上げの中から充当していく。

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