ダイヘンと古河電気工業は、アルミニウム合金と亜鉛メッキ鋼板の異材接合が可能なレーザー・アークハイブリッド溶接システムを共同開発した。現状の溶接ライン設備が流用でき、特殊な材料も不要なため、ランニングコストが抑えられる。
ダイヘンは2019年12月2日、古河電気工業と共同で、アルミニウム合金と亜鉛メッキ鋼板の異材接合が可能なレーザー・アークハイブリッド溶接システムを開発したと発表した。2020年1月から、ダイヘンが窓口となって販売する。
同溶接システムは、アーク溶接にダイヘンのアルミ溶接用電流波形制御技術と、古河電工のレーザー技術を組み合わせて開発した。
アルミ溶接用電流波形制御技術は、ダイヘン独自の「シンクロフィード溶接法」を改良したもので、接合部に必要な溶融金属を極めて低い入熱で供給する。レーザーヘッドには、レーザー光を異材接合に最適な形状、入熱量で接合部に照射する古河電気工業のビームモード制御機能付き光学ヘッドを採用。これにより、品質、信頼性の高い異材接合が可能になった。
同システムは、アーク溶接をベースとしているため、現状の溶接ライン設備が流用でき、構造部材の形や生産工程の大幅な変更は必要ない。また、リベットや接着剤などを用いる他の異材接合方法と比べて工程時間が半分になる。さらに、溶接材料として、一般的なアルミニウム溶接に使用される5000系ワイヤを用いるため、ランニングコストを抑えられる。
近年、自動車業界において、燃費向上を目的とした車体軽量化のためアルミと鋼板を高品質に接合できる溶接技術のニーズが高まっている。しかし、異材接合は融点や熱伝導率など材料特性に違いがあるため、溶接で実用的な強度を確保することは困難だった。
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