名古屋大学は、摩擦により生じる帯電を利用して、人の動作から発電する透明で伸縮性を持つ発電シートを開発した。発光ダイオードを用いた自己給電型の近距離光通信や手袋型の発光デバイスの実証にも成功した。
名古屋大学は2019年11月21日、摩擦により生じる帯電を利用して、人の動作から発電する透明で伸縮性を持つ発電シートを開発したと発表した。同大学未来材料・システム研究所 教授の大野雄高氏らの研究成果だ。
電極材料にカーボンナノチューブ薄膜を使用することで、透明かつ伸縮性を持つ発電シートを可能にするとともに、厚さも低減した。開発した発電シートは、カーボンナノチューブ薄膜を透明シリコンゴムで挟む簡易構造のため、90%以上の高い光透過率を有する。
発電シートの表面を触れることで、その機械的エネルギーを電力に変換。スプレーコート法と呼ばれる簡便な塗布法により、12cm角の大面積発電シートの作製を可能にした。発電シートの表面をプラズマ処理によって改質し、発電能力を8W/m2まで向上。大面積発電シート上では、青色LEDを直列に100個接続し点灯でき、発電シートを引き伸ばしても発電能力は落ちない。
また、開発した発電シートに異なる色のLEDを埋め込んだ一体型の光通信デバイスを作製。タップやスワイプといった手の動作で通信ができる自己給電型の光通信技術を実証した。触る場所の違いによって異なる色のLEDが発光し、色の組み合わせや順番によりさまざまな光信号を送信できる。
さらに、拍手をすると発光する手袋型発光デバイスを作製。手の平側に発電シートを、手の甲側にLEDを設置し、カーボンナノチューブを用いて配線した。手袋の着脱も可能でありウェアラブルデバイスへの応用の可能性が示された。
本技術は、ウェアラブルデバイスの電源や接触センサー、配線不要でデザイン性の高いスイッチ類への応用が期待できる。
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