何とか持ち分を走り切って、アンカーの山口選手にドライバーチェンジ。ピットでの作業時に燃料計から残量を確認し、コースへ飛び出していった。何とか任務を果たしたことで安堵と、いよいよゴールが近付いてきたことへの期待感が高まってきた。
最後のドライバーチェンジでマシンに乗り込む山口選手。燃費は上げた、タイヤもなるべく減らさずマシンを渡せた。後はゴールまで存分に攻めてもらおうと思っていたのだが……。思い通りにはいかないものだ(クリックで拡大)しかし走行中の暑いこと! 走行後は防炎のアンダーシャツが絞れるほどの汗、いやバケツから引き上げたのかと思うほどビショ濡れだ。西坂選手も途中で一瞬、意識が薄くなりかけた時もあったと言うが、筆者もそんな瞬間があった。
アンカーを務めた山口選手には、燃費制限もタイヤを温存することもなく、思う存分マシンを振り回せる環境にすることができた。それでも予選時とはタイヤのグリップ力が異なるのでなかなかタイムが上がらない。
そうしているうちに他チームの間で極端にスローダウンして走行するマシンが現れ始めた。そう、土壇場で燃料が足りなくなり、慌てて超燃費走行に切り替えたのだろう。そんな中で快調にラップを重ねるわれわれのマシンは、1台また1台と他チームを抜いて順位を上げていく。いいぞ、燃費は大丈夫、タイヤも存分に使い切れ!
しかし山口選手にとっては、ドライビングを楽しんでいられるような状況ではなかったようだ。やはり問題は暑さだったようで、ゴール後は熱中症で医務室に運ばれるほど身体は消耗していた。それほど限界まで踏ん張り、見事走り切ったのだ。
ゴール後、メインストレート上にマシンを止めてガッツポーズをキメた山口選手。チェッカーを受ける1周前がチームのベストラップというオマケ付きでのフィニッシュだった。脱水症状にも負けず、渾身の力で走り切ったのだ(クリックで拡大)ガス欠で失格(コース上での停止により)となったチームも続出したため、われわれITmedia×MONOistチームは、何と14位という順位でレースを終えることができた。2018年は不安定な悪天候に翻弄されて、本来の戦いぶりを発揮できなかったが、2019年はハプニングを乗り越えて、前回の25位から大躍進の成績を収めることができた。
そして今回、走りきったことで新たな課題も発見できた。熱中症対策とタイヤのグリップ問題への対策、これで2020年はより上位を目指す目標を掲げられそうだ。
高根 英幸(たかね ひでゆき)
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。輸入車専門誌の編集部を経て、現在はフリーランス。実際のメカいじりやレース参戦などによる経験からクルマや運転テクニックを語れる理系自動車ライター。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
2018年も参戦!メディア4耐レース、波乱の展開の末に……
自動車専門メディアとの熱い戦い、2017年の“メディア4耐”
ITmedia×MONOistロードスターに「ラスト1周の悲劇」
モデルベース開発は単なる手法でなくモノの考え方、マツダ流の取り組みとは
エンジンやボディー、シャシーはどう進化する? マツダSKYACTIV第2世代
「NDロードスター」と「124スパイダー」から見えてきた、愛車になるための“余白”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
モビリティの記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム