「ヴィッツ」が全面改良で「ヤリス」に、トヨタ初の右左折時自動ブレーキも車両デザイン(3/3 ページ)

» 2019年10月16日 15時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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コンパクトハイブリッド車にも4WDを

新開発の4WD用リアサスペンション(クリックして拡大)

 新型ヤリスのハイブリッドモデル向けに、4WD用のリアサスペンションを新開発した。現行のコンパクトカーに採用しているトーションビームは、スペース不足やE-Four用モーターのドライブシャフトと部品の干渉があり、ヤリスのハイブリッドモデルには搭載できなかった。そのため、独立懸架のダブルウィッシュボーンを新たに開発した。サスペンションメンバーとサスペンションアーム、スタビライザーの最適配置により実現した。サスペンションメンバーとスタビライザーは、2WDモデルと同等のスペースに収めた。また、駆動用バッテリーやハイブリッド車向け燃料タンクといった大物部品は2WDモデルと共通化している。

 「プリウスの4WD用リアサスペンションもダブルウィッシュボーンだが、アームが多く、サスペンションメンバーが立派なので、ヤリスに搭載するには高価で重すぎた。トーションビームを無理に載せると妥協が入り、1クラス上の乗り心地を目指すという新型ヤリスの開発コンセプトを満たせなかった。モデルチェンジを機に、GA-Bプラットフォームのハイブリッド車向けに新たに開発することができた」(開発者)

 ヴィッツのハイブリッドモデルでも4WDが欲しいというニーズは、北海道など降雪地域から多く寄せられていた。北米の五大湖周辺やミシガン州などの雪が降るエリアでも要望が多かった。「4WD=オフロードというイメージがあったが、雪国では車庫から出るときや、雪でできた轍を脱出するような場面で“生活4駆”として必要とされている。欧州ではハイブリッドモデルの4WDニーズはあまり聞かないが、北欧やドイツ北部、スイスなどでは要望がある。大きなニーズではないが、4WDを設定して提案していきたい」(開発者)

ねじり剛性30%向上と軽量化を両立

新型ヤリスのボディー骨格(クリックして拡大)

 ボディー骨格は、「クラストップの高剛性」(トヨタ自動車)を目指した。主要な骨格を連結させることで、従来モデル比でねじり剛性を30%向上させた。これにより、意のままの走りや、フラットでショックの少ない上質な乗り心地を実現したという。骨格構造や結合には、トヨタ自動車のコンパクトカーでは初採用となる手法を取り入れた。

 カウルとダッシュパネル、インパネリンフォースを結合して剛性向上。さらに、サスタワーも接続し、サスの着力点剛性を高めた。リアは左右のサスタワーをつなぐ他、トンネルやフロアクロス、サイドメンバーを結合することでフロアの変形を抑制する。リアの環状構造とサスタワーはブレース構造で直結している。この他にも、ホットスタンプや高剛性材料を積極的に採用し、軽量化と高剛性化を両立したという。

 シャシーでは、サスペンションスプリングの搭載角を外側に傾けることで、アブソーバーの摺動摩擦を低減する。リアのトークレクトタイプブッシュは左右平行に配置して、突起を乗り越えた時のショックを低減する。また、リアサスペンションの最適化で旋回時のトーイン量を増加させ、安定性を高めているという。ステアリングの支持剛性も向上し、操舵に対する高い応答性を実現した。

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