2018年度の日本車現行モデルでアセスメント、歩行者対応自動ブレーキに大差安全システム

国土交通省は2019年5月30日、平成30年度(2018年度)の自動車アセスメントの評価結果を発表した。衝突安全性能評価と予防安全性能評価に分けて実施されており、事故の未然防止に関わる予防安全性能評価では、トヨタ自動車「アルファード/ヴェルファイア」が満点を獲得し、大賞を受賞した。また、評価を実施した21車種のうち、15車種が最高評価の「ASV+++」を獲得した。

» 2019年05月31日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 国土交通省は2019年5月30日、平成30年度(2018年度)の自動車アセスメントの評価結果を発表した。衝突安全性能評価と予防安全性能評価に分けて実施されており、事故の未然防止に関わる予防安全性能評価では、トヨタ自動車「アルファード/ヴェルファイア」が満点を獲得し、大賞を受賞した。また、評価を実施した21車種のうち、15車種が最高評価の「ASV+++」を獲得した。

 2018年度の自動車アセスメントでは、予防安全性能評価に3つの項目が追加された。1つが急発進や急加速の事故の対策となる踏み間違い加速抑制だ(2.0点満点)。2つ目は夜間における対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ(40.0点満点)。3つ目は前方の交通状況によってヘッドランプの照射範囲を自動的に適切なものに変更する高機能前照灯だ(5.0点満点)。

 予防安全性能評価は合計7項目126点満点となり、86点以上でASV+++を獲得できる。配点のうち、衝突被害軽減ブレーキの対車両(32.0点満点)や昼間の対歩行者(65.0点満点)、夜間の対歩行者の比率が大きい。これらの項目では衝突を回避できるかどうか、衝突した場合でも衝突前にどれだけ減速できたかが評価される。対車両と昼間の対歩行者では時速10k〜60kmで、夜間の対歩行者では時速30k〜60kmで車両を接近させて試験を行う。

 結果を見ると、対車両の衝突被害軽減ブレーキはほとんど全てのモデルが満点を獲得した。一方で、対歩行者は点数のばらつきが大きく、昼間は満点から8.5点まで、夜間も満点から19.3点まで分散。歩行者を対象としたセンシングの難しさが浮き彫りになった。

各モデルの予防安全性能評価の結果
メーカー モデル
(代表名)
対車両 対歩行者 対歩行者
(夜間)
車線逸脱
抑制
後方視界
情報
高機能
前照灯
踏み間違い
加速抑制
トヨタ アルファード 32.0 65.0 40.0 16.0 6.0 5.0 2.0
カローラスポーツ 32.0 65.0 40.0 16.0 6.0 1.4 2.0
クラウン 32.0 63.5 38.5 16.0 6.0 5.0 2.0
カムリ 32.0 18.2 - 16.0 6.0 1.4 2.0
日産 ノート 32.0 64.9 39.9 16.0 6.0 1.4 2.0
ホンダ インサイト 32.0 64.8 40.0 16.0 6.0 1.4 1.2
N-VAN 32.0 64.0 40.0 16.0 6.0 1.4 1.2
CR-V 32.0 63.0 39.1 16.0 6.0 1.4 0.6
オデッセイ 31.6 8.5 - 16.0 6.0 - 0.6
スバル フォレスター 32.0 61.3 37.8 16.0 6.0 5.0 2.0
インプレッサ 32.0 61.8 38.1 16.0 6.0 1.4 1.6
マツダ CX-5 32.0 54.8 30.3 16.0 6.0 5.0 1.6
CX-8 32.0 54.4 29.4 16.0 6.0 5.0 1.6
アテンザ 32.0 52.7 28.3 16.0 6.0 5.0 1.6
CX-3 32.0 47.2 22.4 8.0 6.0 5.0 1.6
スズキ ソリオ 32.0 62.1 39.6 8.0 6.0 1.4 1.6
クロスビー 32.0 14.9 - 8.0 6.0 1.4 1.6
ジムニー 32.0 13.3 - 8.0 6.0 1.4 0.6
三菱 eKスペース 32.0 44.2 19.3 8.0 6.0 1.4 1.6
エクリプスクロス 32.0 14.9 - 8.0 6.0 1.4 1.2
ダイハツ ミラトコット 32.0 12.0 - 8.0 6.0 1.4 1.2

 アルファード/ヴェルファイアは126点を獲得し、衝突被害軽減ブレーキの3項目、車線逸脱抑制、後方視界情報、高機能前照灯、踏み間違い加速抑制の全項目で満点だった。同モデルには、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の第2世代版が採用されている。単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせて車両や歩行者を検知する。

 2つのセンサーを開発したのはデンソーだ。カメラは新開発のレンズやソニーセミコンダクターソリューションズ製の高感度なイメージセンサーの採用によって夜間の視認性を向上した。ミリ波レーダーは、照射する電波の照射回数を増やすことで検知感度を向上させ、車両前方を横切る歩行者に対する検知精度を高めた。

 スズキの各モデルの評価を見ると、日立オートモティブシステムズ製ステレオカメラを障害物検知に使用する「ソリオ」と、単眼カメラとレーザーレーダーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポート」を搭載する「クロスビー」「ジムニー」で対歩行者の衝突被害軽減ブレーキに大きく差がついた。

 日立オートモティブシステムズ製のステレオカメラを使用するSUBARU(スバル)の2車種も、対歩行者衝突被害軽減ブレーキは昼夜で高い評価を獲得した。同じステレオカメラでも、デンソー製を採用しているダイハツ工業「ミラトコット」は対歩行者の性能が振るわなかった。

 スズキは2016年12月に発表した「スイフト」から、単眼カメラとレーザーレーダーを組み合わせたセンサーを採用した。センサー変更の目的は自動ハイビームへの対応で、サプライヤーはContinental(コンチネンタル)だ。現行スイフトの発表時点では、デュアルセンサーブレーキサポートとステレオカメラの使い分けについて「モデル切り替えごとに検討する」(スズキの説明員)と述べていた。

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