THKではこの「Omni THK」に加え、予防保全により自社の製品価値向上を実現する取り組み「Omni edge」も2018年10月に発表し現在実証を進めているところだ(※)。「OMNI edge」は、THK製のリニアモーションガイド(LMガイド)やボールねじの状況をセンサーで取得し、その状況をアンプから吸い上げて収集し、その情報を分析することで、故障を予知し、計画保全を行えるようにするサービスである。
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当初は2019年2月から50社に対しトライアルを進めると発表していたが、現在は100社までトライアルを拡大。2019年末までに成果を検証し、商用リリースを発表する計画だという。寺町氏は「利便性の良いアプリの開発を進め2020年初には商用展開を開始したい」と今後の取り組みについて語っている。
これらの取り組みを協業で支える日本マイクロソフトでは、製造業のデジタル化への支援に積極的に取り組む方針を示している。同社では従来は「Factory of the future」「Product as a Service」「Intelligent Supply Chain」の3つの方向性での取り組みを進めてきたが、あらためて「Product as a Service」を3つに分割。「製品のイノベーション」「コネクテッドフィールドサービス」「コネクテッド販売・サービス」に分けて、より具体的な提案を進めていく方針を示している。
日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部 インダストリ−マ−ケティングマネ−ジャ−の鈴木靖隆氏は「まさにTHKとの取り組みは3つに分割した『Product as a Service』を実現したものだといえる」と語る。
これらをより容易に実現するために日本マイクロソフトでは業種向けのレファレンスアーキテクチャの構築と提案に取り組んでいる。その中で「第1弾としてコネクテッドフィールドサービスのレファレンスアーキテクチャをリリースする予定だ」(鈴木氏)としている。
鈴木氏は「マイクロソフトはプラットフォーマーではなくテクノロジーサプライヤーである。顧客のデータを使ってビジネスとするのではなく、顧客に技術を活用してもらい、新たなビジネスの形を作ってもらうのが役割だと考えている。その意味でより早く成果を生み出せるレファレンスアーキテクチャの提案は重要だ」と述べている。
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