インフォアジャパンは2019年7月4日、グローバル取引をリアルタイムに可視化し、サプライチェーンを統合するクラウドコマースネットワーク「Infor Nexus」を日本市場で本格提供を開始することを発表した。
インフォアジャパンは2019年7月4日、グローバル取引をリアルタイムに可視化し、サプライチェーンを統合するクラウドコマースネットワーク「Infor Nexus」を日本市場で本格提供を開始することを発表した。
現在、物流業界は人手不足が深刻化する一方で、AI(人工知能)関連技術や倉庫ロボットといった先進技術の導入など、さまざまな変革が行われている。ただ、サプライチェーンを考えた場合、従来型のサプライチェーンマネジメント(SCM)システムでは構成する多くのデータが企業ごとに分断されている。加えて、情報収集のタイミングも定期化されており、物流環境の変化にリアルタイムに対応できない問題があった。
こうした状況に対応するために開発されたのが「Infor Nexus」である。インフォア アジア太平洋地域 Infor Nexus担当 バイスプレジデント キャス・ブレンジェンス(Cas Brentjens)氏は「サプライチェーンを今こそ変革すべきタイミングが来ている。ロジスティクス4.0の実現に向かうべきだ」と強調する。
ブレンジェンス氏は「例えば、ちょうど先日、中国から部品の調達を行う米国製造業の担当者から、米中貿易摩擦の影響で他の地域のサプライヤーに変更することを検討しているという話を聞いた。この場合、物流なども大きく変わりサプライチェーンを根幹から大きく変更しなければならない。現在はこのような地政学的な影響なども含めた市場環境の変化に即座に対応していくことが求められるが、従来型のSCMシステムでは解決できないケースも多い。サプライチェーンの全ての関係者を結び、リアルタイムに情報を取得でき柔軟に判断ができるようにする必要がある」と新たなサプライチェーン管理システムの在り方について語る。
「Infor Nexus」はもともとGT Nexusが展開してきたプラットフォームだが、2015年に同社をInforが買収。2019年4月に「Infor Nexus」としてリブランドしてあらためて日本での展開を本格的に開始する。
同プラットフォームの特徴は、サプライチェーンに関係するメーカーやサプライヤー、サードパーティーロジスティクス(3PL)、銀行など、複数企業にまたがる情報を一元的に統合して活用できるという点である。これにより複雑なサプライチェーンを可視化できる。ブレンジェンス氏は「既に6万5000社の情報がInfor Nexusにつながっており、その内1万6000社は全世界の物流企業である。サプライチェーンにおける大きなコミュニティーが既に形成されており、これらの情報をすぐに活用できる点が強みだ」と強調する。
さらに、従来のサプライチェーン情報に加え、IoT(モノのインターネット)を活用し、リアルタイムの物流情報を取得し、これを同プラットフォームに反映できる点も特徴である。「さまざまな状況により、物流が遅れたり、止まったりすることがあり得る。そういう情報を即座に取得し、そのまま待つべきなのか、他から手配をするのかなどの判断をリアルタイムに下せる。今後は天候や気候情報、その他の情報も組み合わせてAIなどで最適な判断を下せるように支援することも可能とする」とブレンジェンス氏は利点を強調する。
「Infor Nexus」はSaaS(Software as a Service)型のクラウドサービスで、導入するメーカーに対し、出荷ベースなどの従量課金で課金を行うという。プラットフォームに参加するサプライヤーや物流企業などへの課金は行わないという。
物流情報のリアルタイムトレースなどは大手を中心にすぐにも実現できる状況だが、今後日本での展開においてポイントになりそうなのが、サプライヤーの情報をどのようにこのシステムに反映させていくのかという点である。インフォアジャパン 副社長執行役員 営業統括の三浦信哉氏は「確かにメーカーが導入する中でサプライヤーに同システムにどう対応してもらうかということが大きなポイントとなる。インフォアでもメーカーとともにサプライヤーに説明し、メリットを理解してもらう活動を進めていく。エコシステムを国内で作り出すことが重要だと考えている」と述べている。
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