「製造現場において損益の“見える化”を実現する価値」について紹介する本連載。第1回は組み立て加工業、第2回はプロセス産業の事例を紹介してきましたが、最終回となる今回は、あらためてこれらの事例の中で見えた特徴を整理します。
損益を加えたサプライチェーンマネジメントの事例を通じ、「なぜ現場で損益を把握していなければならないのか」「その効果にはどのようなことがあるか」という点について解説する本連載。
第1回は組み立て加工業、第2回はプロセス産業における「SCM+損益」の事例を紹介してきました。今回は、これらの事例におけるポイントをあらためて整理し、事業の特徴と課題、これらへの対応策を解説します。
第1回、第2回を通じた事例の紹介により、あくまでも一例ではありますが、組み立て産業とプロセス産業それぞれの大まかな特徴とその要因となっている制約条件、外的要因や経緯の違いが理解いただけたのではないかと思います(図1)。
一方で、主に外的要因から、両産業が置かれている状況や抱えている問題が非常に近くなってきています。
従来の組み立て産業は、日々の供給活動をいかに効率的かつ正確に実行するかという点に焦点が置かれていたのに対して、プロセス産業では月単位、場合によっては年単位での事業および供給戦略を立てていくことに重きが置かれていました。しかし、事例でも紹介した通り、組み立て産業はより長期的、戦略的(金額的)な方向に、プロセス産業はより実行面での柔軟性と効率性の方向に進まざるを得ない状況になっています。それぞれの出発点と、取り組みのアプローチは異なりますが、全体を通して見ると「短期計画と長期計画、数量と金額の全体の同期化を目指すようになった」といえます(図2)。
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