ロボットサービスの安全マネジメントに関する新規格を制定 : FAニュース
産業技術総合研究所がまとめた「サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項」が、JIS規格「JIS Y 1001」として制定された。
産業技術総合研究所は2019年5月20日、同研究所のロボットイノベーション研究センターがまとめた「サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項」が、JIS規格「JIS Y 1001」として制定されたと発表した。
交通機関や商業施設の案内ロボット、介護分野での介護、アシストロボットなど、一般の人が利用するサービスロボットの実用化が始まっている。ロボット本体については、産業用、サービスともに安全規格があり、ロボット運用時の安全も産業用はISO45001や労働安全衛生法で規定されている。一方、サービスロボットの運用には、該当の規格がなかった。また、同年7月1日施行の「産業標準化法(新JIS法)」では、鉱工業品などに限られていた標準化対象に、データやサービスなども含まれることになった。
JIS Y 1001は、サービスロボットが人と安全に共存するため、ロボットを用いてサービスを提供するロボットサービスプロバイダーに求められる、安全管理や運用に関する事項を体系化、標準化したものだ。日本ロボット工業会のJIS原案作成委員会の審議を経て、新JIS法のもと、役務(サービス)規格の第一号として制定される。
同規格における安全マネジメントは、ロボットサービスプロバイダーがロボットサービス特有の安全上の課題や問題を、リスクアセスメントを実施して明らかにし、安全管理などによって運用時のリスクを低減するものとなっている。
また、製品やサービスの品質を向上するための内容を規定した国際規格ISO9001や労働安全マネジメント規格ISO45001と同様に、トップマネジメントや体制の構築、教育など安全管理活動の継続と改善を求めている。
JIS Y 1001の制定と同規格の活用が、国内外における安全なロボットサービスの普及に役立つことが期待される。
左:空港での案内ロボット実証実験例、右:介護施設での腰部アシストロボットの使用例(クリックで拡大) 出典:産業技術総合研究所
ロボットサービスのビジネスモデル(B2B2Cモデル)と対応する規格(クリックで拡大) 出典:産業技術総合研究所
製造業者とロボットサービスプロバイダーによるリスク低減(クリックで拡大) 出典:産業技術総合研究所
人手不足対策で完全自動化は逆効果、人とロボットの協力をどのように切り開くか
人手不足に苦しむ中で、工場でもあらためて自動化領域の拡大への挑戦が進んでいる。その中で導入が拡大しているのがロボットである。AIなどの先進技術と組み合わせ、ロボットを活用した“自律的な全自動化”への取り組みも進むが現実的には難易度が高く、“人とロボットの協調”をどう最適に実現するかへ主流はシフトする。
協働ロボット、ロボットシステムに残された課題と未来
協働ロボットを現場で活用するのにどのような工夫が必要か――。ロボット技術の総合展示会「2017国際ロボット展」では、ロボットメーカーおよびユーザー企業によるパネルディスカッション「ロボットフォーラム2017」が実施され、協働ロボットの意義について語った。
機械は人の仕事を奪わない、“人とロボットがともに働く現場”が拡大へ
2016年は人工知能関連技術が大きな注目を集めて「機械が人間の仕事を奪う」という議論が大いに盛り上がりを見せた。こうした一方で2017年には「現場」において、こうした動きと逆行するように見える「人とロボットが協力して働く世界」が始まりを迎える。
いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。
製造現場での普及を2倍に、ロボット新戦略が目指すロボットと共に働く未来
日本政府が主催する「ロボット革命実現会議」は、ロボット活用の技術的および規制面でのロードマップを示した「ロボット新戦略」を発表した。本稿では、この新戦略の中で示されている「モノづくり」分野への取り組みにフォーカスし、その内容を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.