資生堂は、緊張による心理的ストレスで皮膚から特徴的な匂いが放出される現象を発見し、匂いの原因となる2つの主要成分を特定した。
資生堂は2018年10月2日、緊張による心理的ストレスで皮膚から特徴的な匂いが放出される現象を発見し、匂いの原因となる2つの主要成分を特定したと発表した。
同社は、これまで臭気判定士による体臭の研究を続けてきた。研究を通じて、人が緊張によるストレス状態にあると、皮膚ガス(皮膚表面から放出される気体)に硫黄化合物のような特有の匂いが発生することに気づいた。
そこで、初対面のインタビュアーからの質問に20分間回答し続けるというインタビューストレス試験を実施。その結果、この特有の匂いの発生に再現性があることを確認した。
次に、ストレスから発生する匂い成分を分析するため、中の空気を純窒素ガスに換えた専用器具を用いて、インタビューストレスを受けた人の皮膚ガスを採取した。採取した全ての人の皮膚ガスを確認したところ、特有の「硫黄化合物系の匂い」が発生していた。
さらに、分析と同時に匂いを確認できる装置「GC/MS-ODP」を用いてこの匂いを分析したところ、匂いの原因となる物質の主要成分がジメチルトリスルフィド(dimethyl trisulfide:DMTS)とアリルメルカプタン(allyl mercaptan:AM)であることが判明。この2つの成分を「STチオジメタン」と名付けた。
同研究成果によって、皮膚ガスが生理的に重要な指標であること、心理的変化も捉えられることが示された。同社では、今回発見した匂いに対して、強い匂いでマスキングするのではなく、包み込んで目立たなくする独自のSTアンセンティッド技術も開発している。
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