日立製作所は、国際共同研究により、複雑な治療を要する2型糖尿病患者の治療薬選択を支援するAIを開発した。複数施設のカルテデータを統合分析することで、複数の治療薬を併用する症例数の少ない治療についても、治療効果を予測可能になった。
日立製作所は2022年3月25日、複数の治療薬を併用するなど、複雑な治療が必要な2型糖尿病患者の治療薬選択を支援するAI(人工知能)を発表した。ユタ大学、レーゲンストリーフ研究所との国際共同研究により開発した。
AIによる治療薬選択支援では、AIに多数の患者データを学習させる必要がある。そのため、複雑で症例が少ない治療については、単一施設のデータだけでは高精度な予測が困難な場合がある。
そこで今回、病態が類似する患者をグループ化する患者層別化技術を用いて、アメリカのユタ州とインディアナ州の電子カルテデータを横断的に分析可能にした。データを統合して患者を層別化し、それぞれのグループにおいて実施された治療薬の種類と効果の関係性をモデル化することで、複数施設のデータを基に、複数の治療薬を併用する症例数の少ない治療についても治療効果を予測できるようになった。
開発したAIは、体重、検査値、治療薬などの病態が類似する患者パターンを抽出して学習する。効果予測の性能を検証したところ、2剤以上を併用する治療でも、83%以上の患者に治療薬の選択支援が可能であることが示された。
同AIにより、患者自身が処方薬の組み合わせごとの効能を確認し、医師と共に治療方針を検討できるようになる。患者の治療への積極的な取り組みやQoL向上につながることが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.