名古屋大学は、同時に複数の治療標的タンパク質に作用する、新薬候補化合物の化学構造を設計する創薬AIを開発した。応用例では、気管支ぜんそくの2つの治療標的タンパク質に作用するAIを設計し、化合物を合成した。
名古屋大学は2025年1月17日、同時に複数の治療標的タンパク質に作用する、新薬候補化合物(ポリファーマコロジー化合物)の化学構造を設計する創薬AI(人工知能)を開発したと発表した。九州工業大学、東京大学との共同研究による成果だ。
研究グループは、遺伝アルゴリズムを用いたフラグメントペースの構造生成器「DualFASMIFRA」と、敵対的生成ネットワークやトランスフォーマーなど深層学習ベースの構造生成器「DualTRANSORGAN」を開発。これらのアルゴリズムを融合させ、創薬AIを作製した。
この創薬AIの応用例として、アデノシンA2A受容体(ADORA2A)とホスホジエステラーゼ4D(PDE4D)を治療標的タンパク質とする気管支ぜんそくに適用した。AIが設計した化合物の化学構造に基づき、10種類の化合物を合成した。
合成した10種類の化合物に対し、ヒトの治療標的タンパク質に作用するか評価を実施。3種類の化合物が、目的とするADORA2AとPDE4Dの両方に対して80%以上の結合阻害を示した。
2つの任意の治療標的タンパク質と相互作用する可能性の高い化合物の化学構造を自動で設計可能になったことで、治療効果の向上や副作用の軽減などが期待される。
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