日本マイクロソフトは都内で日本におけるデジタル変革への取り組みと現状について説明。建設IoT基盤「LANDLOG」にAzureが採用されたことを発表した。
日本マイクロソフトは2018年2月20日、都内で日本におけるデジタル変革への取り組みと現状について説明した。
日本マイクロソフトは国内のデジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組んでいる。導入実績を順調に拡大する中で、新たな採用実績として、コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社が設立した建設現場向けのIoTプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」にクラウド「Microsoft Azure」がIaaS/PaaSとして採用されたことを紹介した。
「ランドログ」は主に、コマツが抱える建設生産プロセスの効率化や改善に対する課題認識から生まれた。建機大手のコマツでは人手不足などの現状を踏まえ、以前から建設現場のプロセス改善に向けた取り組みを行ってきた。機械稼働管理システム「KOMTRAX」などの他、建設機械の施工をICTで自動制御する「ICT建機」を市場投入し、建設現場のテクノロジーによる効率化に積極的に取り組んできた※)。
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ただ、建設現場の情報は建設機械だけから生まれるわけではない。そこでコマツでは建設プロセス全体の最適化を図るために、調査測量から設計、施工、施工後、保守までを一元的に3Dデータでつなぎ見える化を実現する「スマートコンストラクション」を立ち上げた。ランドログ 代表取締役社長の井川甲作氏は「既に4000現場で採用されている」と実績について語る。
さらに、見える化を実現したことで、新たな問題に出会う。井川氏は「見える化を進めると建設現場の全ての情報の中で、コマツに関連する領域はかなり少ないということに気づいた。生産プロセス全体の効率化を実現するには、オープンプラットフォーム化が必要だという話になり、それで『ランドログ』を立ち上げるという動きにつながった」と述べる。ランドログは2018年2月末に本格オープンを予定している※)。
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ランドログでは、主に「建設現場から収集したデータの提供」と「建設現場でのデータ取得システムの提供」の2つのビジネスモデルを展開する。建機は海外での販売が大半で、利用される建設現場も世界各地に点在しているが、ランドログでも2018年前半にはグローバルサービスを開始する予定としている。
「Microsoft Azure」を採用した理由について、井川氏は「1つはグローバル分散データベースサービス『Azure Cosmos DB』があった点がある。グローバル展開を進める中で柔軟に活用できる。さらに、今後データで得られた『コト』をアプリケーション化してビジネスとしていく中でAzureによってワンストップサービスを立ち上げられる」と述べ、グローバル対応とワンストップサービスを主な要因として挙げている。
さらに、今後は「AI(人工知能)活用」をポイントに挙げ、Azure上で利用できるさまざまなAI関連サービスをSaaS(Software as a Service)として活用していく姿勢なども示している。
日本マイクロソフトでは、これらのデジタル技術を使った新たな取り組みを積極的に支援。「働き方改革」と「インダストリーイノベーション」の2軸を強化していく方針を示している。日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏は「デジタル変革へのインパクトは非常に大きい。デジタル変革でリーディングカンパニーになるための要素としては、デジタル文化の育成、情報エコシステムの構築、小規模な革新の推進、AIの活用がある。テクノロジープラットフォームとしてこれらの取り組みを支援していきたい」と今後の取り組みについて述べている。
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