ファナックは、“肘のない”協働ロボットを展開するライフロボティクスの発行済み株式を全て取得し、完全子会社化した。協働ロボットの多様化などでライフロボティクスの技術などを活用する方針。
ファナックは2018年2月9日、“肘のない”独自機構を採用する協働ロボット「CORO」を展開するライフロボティクスの発行済み株式を全て取得し、完全子会社化したことを発表した。
ライフロボティクスの「CORO」は、多関節ロボットだが、人間の“肘”に当たる部位をなくし、独自特許技術「Transpander Technology」により、手が伸び縮みすることで、安全に省スペースでさまざまな作業を行えるという利点を持つ協働ロボットである。多関節の産業用ロボットアームが人と協働する際に、人間の“肘”に当たる部分の動きが予測できずに、人と接触する場合が多いことから、この“肘”部分をなくす機構を開発したことが特徴となっている。
「CORO」のアームは、6方向への作業自由度を持ち、本体重量は26kg、可搬重量は2kgとなっている。アンカーボルトによる固定も不要で、さらに独自のティーチング用ソフトウェアにより、直感的なティーチングなども可能だとしている。既に、トヨタ自動車、オムロン、吉野家、ロイヤル(ロイヤルホールディングス子会社)などに導入されているという。また、化粧品や物流の大手にも導入されたとしている※)。
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ファナックでは「ロボットの多様化などの可能性を追求するため、このような技術を持つ同社の株式を取得し、当社の子会社とする」とコメントしている。
ファナックでは既に工場内のIoT基盤として、シスコシステムズやNTTグループ、Preferred Networks(PFN)などと「FIELD system」を展開。2017年10月に運用を開始している。これらの動きに加えて、2018年1月にも日立製作所、PFNと、エッジデバイスにAI技術を活用したインテリジェントエッジシステムの開発に向けた合弁会社設立を発表(※)しており、工場外のロボティクスやAI活用への動きを強化している。ライフロボティクスの「CORO」も「従来ロボットが使用できない領域での活用を広げ、労働生産性の向上に貢献していく」としていることから、既存領域以外での活用を意識したものだと考えられる。
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