トヨタ自動車は2018年3月期(2017年度)の第3四半期(4〜12月)決算を発表した。前年同期比で増収増益となり、通期の業績も上方修正する。当期純利益は過去最高を更新する見通しだ。
トヨタ自動車は2018年2月6日、東京都内で会見を開き、2018年3月期(2017年度)の第3四半期(4〜12月)決算を発表した。
2017年4〜12月期決算は、売上高が前年同期比8.1%増の21兆7969億円、営業利益は同13.8%増の1兆7701億円、当期純利益は同40.5%増の2兆131億円で、増収増益だった。2017年10〜12月期の3カ月間は、収益改善活動の成果により、為替の影響を除いた営業利益が前年同期から50億円の増益となった。
2017年度の通期決算の見通しは、さらに収益改善が進むことを踏まえて2017年4〜9月期決算発表時の見込みから上方修正する。売上高は前回予想から5000億円増の29兆円、営業利益は同2000億円増の2兆2000億円、当期純利益は同4500億円増で過去最高の2兆4000億円とした。
2017年度通期の営業利益で2000億円を積み増したうち、為替の影響を除くと1300億円のプラスとなる。具体的には、設計面での改善が200億円、商品構成の改善が150億円、諸経費の減少で950億円を確保した。設計面の改善は、カンパニー制の導入により採用の拡大と前倒しが容易になったとしている。諸経費のうち、750億円は作業時間の短縮や市場措置の件数が減少したことによって抑制した。
しかし、前期の営業利益と比較すると、為替影響を除いた営業損益は550億円のマイナスだ。これについてトヨタ自動車 副社長の小林耕士氏は「評価としてはバツだ。2017年度通期の決算は残り2カ月だが、あくまで決算の区切りでしかない。継続して、強化しながら収益改善に取り組んでいく必要がある」とコメントした。
その継続した取り組みの一例は、即断即決だ。トヨタ自動車は2017年11月に体制変更を発表した。100年に一度の大変革ともいわれる環境下で生き残るため、「スピードアンドオープン」(小林氏)な事業運営を行う。即断即決できなければPDCA(Plan-Do-Check-Action)が回らないという考えの下、会議でも資料なしで即座に決断することを要求しているという。他社との打ち合わせでも資料なしで結論を出し、即日で相手方の社内にも方針を展開した。「社内が多少混乱しているのは事実だ。これが定着すれば、収益を稼げる体質になれる」(小林氏)。
また、「原価をキチンと見積もる能力」(小林氏)を磨いていくことも、来期の収益改善に貢献する。「エンジン、駆動系、ボデーなど各部署で完璧に仕上げようとすると車両全体で見た時に無駄が多くなる。これを抜本的に見直している」(小林氏)という。
2017年4〜12月期の販売台数は、前年同期比0.5%増の667万8000台だった。日本や中南米での販売台数が増加したが、北米や、与信基準が厳格化したインドネシアなどアジア地域での販売が振るわなかった。通期の販売台数は、日本と欧州で当初の予想より減少するものの、北米で増加するため895万台の見通しを据え置いた。
米国市場では新車の買い替え需要が一服するものの、良好な雇用環境から個人消費は堅調で、2018年は1680万〜1700万台の市場規模を見込む。TNGA(Toyota New Global Architecture)を採用した「アバロン」の新モデルなど、1年半で15車種を投入して需要を喚起していく方針だ。また、SUVやライトトラックの供給改善も貢献するとしている。
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