特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

国内自動車業界への提案強化するテラデータ「コネクテッドカーのニーズ大きい」製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)

» 2017年12月06日 10時00分 公開
[鈴木恭子MONOist]
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コネクテッドカーデータを道路整備に活用するボルボ

 その欧州の自動車メーカーとは、スウェーデンのボルボ(Volvo Cars)である。同社は2015年、自動運転に向けたプロジェクト「コンセプト26」を発表した。北米におけるボルボの顧客の平均通勤時間が26分であることから名付けられた同プロジェクトは、16種類以上の先進安全/運転支援機能である「インテリセーフ」の開発や、これらの機能制御を自動でコントロールできる「インテリセーフ・オートパイロット」の設計などが包含されている。

ボルボのWebサイトは「コンセプト26」の詳細を掲載 ボルボのWebサイトには「コンセプト26」の詳細が掲載されている。まだコンセプトカー段階だが、完全自動運転の実現をうかがわせるコンセプトだ(クリックでWebサイトへ)

 既にボルボでは、自動運転に不可欠なセンサーや分析ソリューションを活用し、一部機能を実用化している。具体的には、歩行者、動物、路肩、障害物などの検知機能、車両間通信機能、ステアリングアシスト付きセルフパーキングなどだ。さらに、先行車両を追従し、車間距離を保ちながら一定速度で走行する「アダプティブクルーズコントロール」などの機能も実証実験を実施している。

 こうした取り組みは、自社製品の開発に生かすだけではない。ボルボでは自動車から収集した路面状況や周囲の環境といったデータをクラウド環境でリアルタイム分析し、交通環境全体の安全対策に活用している。

 例えば、先行車の走行データ分析により、凍結や陥没などの危険な路面状況があると判断した場合には、後続車両にアラートを出したり、道路状況のデータ分析結果を自治体などに提供し、道路整備や渋滞解消施策に役立てたりしている。

 将来的にボルボでは、こうしたデータや分析プラットフォームを各国の交通管理エコシステムと連携させ、リアルタイム交通情報データの共有することで、将来的にはスマートシティーの実現などを支援していきたい考えだ。

 高橋氏は、「ボルボの取り組みのように、コネクテッドカーから収集したデータを活用するというニーズは日本でも大きいと考えている。われわれはボルボの先進的な導入事例を参考にしながら、日本の自動車業界に対しても、コネクテッドカーに不可欠なデータ分析とその活用の可能性を提案していきたい」と語る。



 テラデータはカンファレンス期間中、GE(General Electric)傘下で航空機エンジンの開発/販売を手掛けるGEアビエーションとの戦略的提携を発表している。同提携により、テラデータの分析ソフトウェアとGEの産業用IoTプラットフォームである「Predix」との組合せが可能になる。

「Teradata PARTNERS Conference 2017」の基調講演ではGE幹部が登壇 「Teradata PARTNERS Conference 2017」の基調講演ではGE幹部が登壇し、提携の意義を強調した

 ミケルセン氏も「IoTのビジネス活用について、これまで多くの企業はアイデアを出す部分に力を入れすぎ、現場で利用したり、実際のビジネスで活用したりといった部分をおざなりにしてきた。しかし、大切なのは開発したものを実際の現場で利用することだ。この部分においてテラデータは、果たす役割がある」と力説した。

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