その欧州の自動車メーカーとは、スウェーデンのボルボ(Volvo Cars)である。同社は2015年、自動運転に向けたプロジェクト「コンセプト26」を発表した。北米におけるボルボの顧客の平均通勤時間が26分であることから名付けられた同プロジェクトは、16種類以上の先進安全/運転支援機能である「インテリセーフ」の開発や、これらの機能制御を自動でコントロールできる「インテリセーフ・オートパイロット」の設計などが包含されている。
既にボルボでは、自動運転に不可欠なセンサーや分析ソリューションを活用し、一部機能を実用化している。具体的には、歩行者、動物、路肩、障害物などの検知機能、車両間通信機能、ステアリングアシスト付きセルフパーキングなどだ。さらに、先行車両を追従し、車間距離を保ちながら一定速度で走行する「アダプティブクルーズコントロール」などの機能も実証実験を実施している。
こうした取り組みは、自社製品の開発に生かすだけではない。ボルボでは自動車から収集した路面状況や周囲の環境といったデータをクラウド環境でリアルタイム分析し、交通環境全体の安全対策に活用している。
例えば、先行車の走行データ分析により、凍結や陥没などの危険な路面状況があると判断した場合には、後続車両にアラートを出したり、道路状況のデータ分析結果を自治体などに提供し、道路整備や渋滞解消施策に役立てたりしている。
将来的にボルボでは、こうしたデータや分析プラットフォームを各国の交通管理エコシステムと連携させ、リアルタイム交通情報データの共有することで、将来的にはスマートシティーの実現などを支援していきたい考えだ。
高橋氏は、「ボルボの取り組みのように、コネクテッドカーから収集したデータを活用するというニーズは日本でも大きいと考えている。われわれはボルボの先進的な導入事例を参考にしながら、日本の自動車業界に対しても、コネクテッドカーに不可欠なデータ分析とその活用の可能性を提案していきたい」と語る。
テラデータはカンファレンス期間中、GE(General Electric)傘下で航空機エンジンの開発/販売を手掛けるGEアビエーションとの戦略的提携を発表している。同提携により、テラデータの分析ソフトウェアとGEの産業用IoTプラットフォームである「Predix」との組合せが可能になる。
ミケルセン氏も「IoTのビジネス活用について、これまで多くの企業はアイデアを出す部分に力を入れすぎ、現場で利用したり、実際のビジネスで活用したりといった部分をおざなりにしてきた。しかし、大切なのは開発したものを実際の現場で利用することだ。この部分においてテラデータは、果たす役割がある」と力説した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.