東北大学は、研究開発を進めてきた「ラジカル殺菌歯周病治療器」の臨床効果を実証した。従来の治療法に比べて歯周病菌が減少し、歯周ポケットを浅くする効果に優れていることが分かった。
東北大学は2017年10月25日、同大学で研究開発を進めてきた「ラジカル殺菌歯周病治療器」の臨床効果を実証したと発表した。従来の治療法に比べて歯周病菌が減少し、歯周ポケットを浅くする効果に優れていることを実証した。同大学大学院 歯学研究科 教授の佐々木啓一氏らの研究グループによるもので、成果は同年9月25日付で英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。
歯周病は、デンタルプラークに含まれる歯周病原因菌によって引き起こされる。病状の進行に伴って歯を支える骨が失われ、最終的には歯の喪失につながる。重度の歯周病になると、歯周ポケットが深くなって治療器具が患部まで届かず、従来法だけでは対応が困難になって外科処置が必要となる場合があった。
東北大学では、重度の歯周病を効率的に治療するため、消毒薬として用いる3%過酸化水素に青色光を照射することで発生するラジカルを応用した殺菌法を考案。これを基にラジカル殺菌歯周病治療器を開発した。非臨床試験を経て、2015〜2016年にかけて中等度および重慢性歯周炎患者を対象に治験を実施した。
治験では、被験者53人142本の歯周病罹患(りかん)を対象に、ラジカル殺菌歯周病治療器を用いた治療(グループ1)の有効性を、従来の非外科的な処置(従来法)と抗生剤ゲルの局所投与を併用する方法(グループ2)、従来法単独(グループ3)と比較した。
治療の前後に歯周ポケット深さや歯周病菌数などを調べて評価した結果、治療後12週間の時点でグループ1は、グループ2、3よりも浅い歯周ポケットが認められた。歯周ポケットの深さは歯周病治療の効果を表す1つの指標であるため、ラジカル殺菌歯周病治療器を用いた治療が従来の治療よりも治療効果があることが実証された。
今後、新規医療機器としての承認取得に向けた取り組みを行い、早期の臨床導入を目指す。
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