東北大学は、高齢期に歯を多く保っている人は、寿命が長いだけでなく、健康で要介護の期間が短いということを明らかにした。
東北大学は2017年6月28日、高齢期に歯を多く保っている人は、寿命が長いだけでなく、健康で要介護の期間が短いということを明らかにしたと発表した。同大学大学院 歯学研究科 歯科医師の松山祐輔氏によるもので、成果は6月13日、米科学誌「Journal of Dental Research」に掲載された。
同研究では、要介護になる前の歯の本数と、寿命および健康寿命(日常生活に制限のない期間)、要介護期間の関連を調査した。日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)の2010年調査に回答した、全国24自治体で要介護認定を受けていない65歳以上高齢者を3年間追跡したデータを分析した。調査は自記式の質問紙で行われ、歯の本数は「0本、1-9本、10-19本、20本以上」の4区分で回答した。
これに加え、自治体のデータベースから死亡日と要介護度2以上の認定日を取得し、調査データとリンクさせて分析した。また、死亡や要介護発生への影響が考えられるその他の要因を取り除くため、分析は性別で層別化し、統計モデルによって、年齢/入れ歯の使用/教育年数/所得/既往歴/主観的健康感/転倒経験/喫煙/飲酒/歩行時間/BMI/うつなどの影響を調整(排除)した。
調査に回答した8万5161人のうち、7万7397人(男性3万6074人/女性4万1323人)について3年間の追跡データを利用できた。分析の結果、上記の要因の影響を除いても、自分の歯が多く保たれている人は、0本の人に比べて寿命が長いだけでなく、健康寿命が長く要介護期間が短いことが分かった。その差は85歳以上で最も大きく、0本の人に比べて歯が20本以上ある人は、健康寿命が男性で92日、女性で70日長かった。寿命は男性で57日、女性で15日長くなり、要介護期間は男性が35日、女性で55日短かった。
同成果により、歯の健康を保つことが、健康寿命の延伸と要介護期間の短縮に寄与する可能性が示された。
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