高効率な個別大量生産に対応する日立大みかのノウハウ、IoTプラットフォームから提供製造業IoT(2/2 ページ)

» 2017年06月09日 08時00分 公開
[小林由美MONOist]
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 大みか事業所ではRFIDを活用して現場データ収集を実施していたが、今回のシステムの導入においてはデータ収集の手段は問わずに使えるとしている。また、これらのシステムは、同事業所と同様に多品種少量生産で課題を持つ企業に向けたものだが、実際には大量生産での現場からの問い合わせもよくあるという。同社は多品種少量生産の現場に限定せず適用できると考えるとのことだった。

 システムの導入形態については基本的にはクラウドサービス経由を考えているが、企業の所有するサーバで扱いたい(オンプレミス)というニーズが想定できるため、そちらも検討しているということだ。

日立 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 大橋章宏氏

 「現場のファクト(事実)をどう捉えるかが大事。そこに対して、デジタルデータを活用した改善の取り組みを実施した」(大橋氏)。同氏は発表会の中で、改善活動において事実を捉えることの重要性や効果について何度か強調した。

 同事業所の従来の改善活動では、人の頭の中にある記憶を基に問題を探るしかなかった。問題が発覚した際に、担当者に聞き取りするしか手段がなく、「○○だったかも……」「○○だったと思います」と担当者の記憶があやふやな場合も結構あったという。それに、事実を正確に伝えようにも、言葉で伝える過程においては、本人の主観的解釈や感覚、感情の影響が多少入ってしまうものだ。そのような要因により、事実の的確な把握が困難だったことから、効率的な改善ができずにいたという。

 そこで大みか事業所では、作業者の作業状況をカメラで監視して記録しておき、問題が発生した際にはボトルネックとなっている作業を自動抽出し、該当する実作業の映像と指示書を表示できるようにした。うやむやになった記憶をたどるのではなく、実際に起こったこと(事実)を作業に従事した担当者と一緒に映像と指示書で確認しながら、的確に問題抽出でき、それに基づいた改善を適切に行っていけるようになったという。

 なお同社は、今回のサービスと併せ、大みか事業所で培ったIoT活用ノウハウを伝授する研修も提供する。同事業所の現場でIoT導入に従事した担当者らが講師となる。こちらは、大みか事業所内で月2回ほど開催する。参加費用は1人当たり5万4000円。研修には工場見学も含まれている。

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