日立製作所は、グローバル展開する製造業向けに「クラウド型設計業務支援サービス」の販売を開始した。同サービスは設計環境をクラウドで一括提供するもの。
日立製作所は2016年10月19日、グローバル展開を進める製造業に向けて設計環境をクラウドサービスとして提供する「クラウド型設計業務支援サービス」を発売した。
「クラウド型設計業務支援サービス」は、工業製品の設計業務に関連するさまざまなデータをクラウド上に集約し一元管理できる「設計業務ナビゲーター」と、仮想デスクトップ上で高性能な設計環境を利用できる「3D-VDI(仮想デスクトップ)サービス」で構成され、これらをクラウドサービスとして提供するものである。
「設計業務ナビゲーター」は、製品仕様書や図面、設計プロセスやプロジェクト進捗などのデータをクラウド上に集約し、一元管理できるというもの。迅速なデータ共有が可能となる他、設計プロジェクトの関係者全員が同じ設計プロセスに基づいて業務を進められるので、作業の手戻りや設計不良を防止できる。熟練設計者の知識や技術をメモとして残すことも可能であり、技能伝承などにも活用できる。
「3D-VDIサービス」は、ソフトウェア仮想化技術を活用した仮想デスクトップ環境により、3次元CADやCAEなどの設計ツールをクラウド経由で利用できるというものだ。これにより、海外出張などの際にも別の拠点からいつでも高性能な設計システムを利用できる他、設計業務ナビゲーター上のデータも迅速に利用できる。また、従来は拠点ごとに必要だった高性能なクライアント環境の構築や運用、保守コストに加えて、設計データの情報漏えいリスクを低減できる。
同サービスは既に、日立グループの複数の部門で先行的に利用を進めており、昇降機事業を手掛ける日立ビルシステムでは、エレベーターのリニューアル工事に伴う構造物に関する3次元データの共有にかかる時間を約50%短縮することに成功したという。日立製作所では、製造業のバリューチェーンの全体最適化を支援するサービス群を「Hitachi Total Supply Chain Management Solution」として体系化しており、今回の新サービスもその1つとしている。今後は自動車や電気機械などグローバルに事業展開する製造業向けに販売するとともに、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)プラットフォーム「Lumada」も活用してサービス強化を継続的に推進する方針だという。
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