VRであれば社内の教育やトレーニングのコンテンツや宣伝イベントなどで活用ができ、ARやMRは実際の作業現場における作業指示・作業効率化などに有効である。
「会社で作られた製品はやがてユーザーの手元に行く。つまり会社の外に出ていく。VRであれば、ユーザーがどこにいようとも情報を提供できる。例えば自動車であれば、VRでは仮想空間でユーザーに“面白い使い方”などの提案ができる。またIoT(モノのインターネット)で収集した情報とVRを組み合わせることで、ユーザーに必要な保守の情報を提供できる。ARやMRなら、実車のさまざまな箇所とユーザーをひもづけた情報を提供することが可能だ」(黒田氏)。
「大規模な仕組みをいきなり作ったけれど、効果が出なかった」ということにならないために、黒田氏は「POC(Proof of Concept、概念実証)」の考え方を提案する。POCとは、要は「本格的なものではなくてよいので、簡単なコンセプトを企画して、作って試して、レビューすることを何回も繰り返すこと」(黒田氏)である。言葉で語るだけではなく、実体験を積み重ねることが大事であるという。「現在は、安価なVRシステムがいろいろ登場してきているので、POCが実行しやすくなっている」(黒田氏)。
黒田氏は、「VRやARの市場は2017年以降の5年間で飛躍的に伸びる」というデルによる市場予測を紹介した。「現在、市場を大きく占めるのが、娯楽やコンシューマーの分野だが、将来は、教育や設計分野も大きく伸びていき、ARコンテンツ作成ビジネスそのものも伸びるだろう」ということだ。
「今後のVRはIoTともどんどんつながっていくだろう。Kinectなどモーションキャプチャーから取得する情報を活用するVRの事例も出てきている。VRとARは現時点では使用するHMDが異なって活用法も違うが、その境目が、将来だんだんなくなっていき、組み合わさったものになっていくだろうと考えている」(黒田氏)。
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