高精度計測が可能な連鋳機用の熱電対自動検査システムFAニュース

Primetals Technologiesは、連鋳機用の熱電対自動検査システム「Automatic Thermocouple Checker」を発表した。これまでは難しかった、高精度な鋳型の温度分布の計測が可能になる。

» 2017年03月09日 07時00分 公開
[MONOist]

 Primetals Technologiesは2017年2月21日、連鋳機用の熱電対自動検査システム「Automatic Thermocouple Checker」を発表した。

 Automatic Thermocouple Checkerは、連続鋳造プラントの鋳型銅板に取り付けられた温度計測用熱電対の検査ソリューション。基本システムは、直線駆動ガイドに搭載した加熱アームと計測/評価ユニットから構成される可搬式ユニットで、鋳型の熱電対コネクタに接続する。検査対象は鋳型の短片や長片、製造現場での銅板単体、組み立てた鋳型などと幅広い。

 検査時には、システムの計測アームが指定された熱電対コラムまで移動し、熱電対を自動で次々と加熱して到達した計測温度を記録する。全てが同一の条件下で、ほぼ全自動で検査するため、これまで難しかった高精度な鋳型の温度分布を計測できる。

 銅板全体の検査後、すぐに正常な熱電対と不具合のある熱電対についてのレポートを作成する。収集した計測データは保存が可能で、品質管理の評価などに活用できる。

 熱電対を均一に加熱することで、熱電対の素線欠陥だけでなく、汚れや押圧不足による熱電対の銅板への接触不良も検出できる。コンピュータを活用した検査プロセスにより、熱電対の取り付け設定についても点検ができるため、熱電対の不具合による鋳型交換を最小限に抑えられ、メンテナンス回数も減らせる。さらに、従来のガストーチによる検査方法で起きやすかった、鋳型銅板への損傷も回避できる。

 従来の連鋳機の運用では、鋳型内の溶鋼の温度が低下して鋳型に固着すると、鋳型が破損して溶鋼が漏れ出すこともあり、多大な復旧費用がかかっていた。鋳型内の固着を事前に検出するには、鋳型の温度分布を高精度で計測する必要があるが、従来の検査方法では銅板の損傷が発生したり、計測時間が長引いたりするという欠点があった。また、人手による検査方法は、熱電対への加熱条件が同一に再現できず、熱電対の温度校正が難しいため、温度計測結果の違いが固着に起因するのかという判断も難しかった。

photo 熱電対自動検査システム「Automatic Thermocouple Checker」の加熱アーム

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