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» 2017年01月24日 11時00分 公開

“モノづくりの神髄”を理解すれば、必ず原価は下がる!【後編】実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(14)(2/4 ページ)

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,MONOist]

3.ジャスト・イン・タイムの基本的な考え方・原則

3.1 タクトタイムで造る

 「タクトタイムで造る」とは、その日の必要数に基づいて、造るスピードを決定するということです。いわば、“売れに合わせた同期生産”ということになります。つまり、関連する全てのモノを全行程が同じスピードで造るという意味です。

 例えば、日当たりの稼働時間を480分とし、日当たりの必要数を100個とします。この場合のタクトタイム(T.T;Takt Time)は、

T.T=480分÷100個=4.8分/個

ということになります。

 つまり、全ての工程が4.8分ごとに1個を完成させるようにすることで、ジャスト・イン・タイムの考え方である「必要なモノを必要な時に、必要なだけ造る」が実現できます。これにより“モノを滞らせない造り方”へとつながっていくわけです。

 後工程が必要としない余分なモノを造るから、モノが動かなく(流れなく)なることで、モノがたまり、よどむという結果を招いてしまいます。当然のことながら、必要数は日々変化しますが、その変化量を最少にする手段として「平準化」が求められるわけです。

3.2 後工程引き取りにする

 一般的な生産指示の方法は、生産計画により各工程別に生産完了日や時刻の指示を行い、前工程が後工程へ運搬するという、いわば前工程からの押し込み生産が主流です。これでは、後工程が何を幾つ、いつ欲しいのかが分からないのに、前工程が勝手に造り続け、結果として必要以上のモノを造り過ぎてしまうとことになります。

 前後工程の作業完了のタイミングが合わない(同期していない)と、必要でもないときに必要以上の数量を造り過ぎてしまったり、不要なモノを後工程に供給したりすれば、工程は混乱して生産効率は悪化してしまうことになります。また、後工程での不良の発生や設備故障などのアクシデントの発生により、後工程の生産の一時的な停止や生産能力が低下した場合でもお構いなしに前工程からモノが送られてきて、たちまちモノで溢れかえるという結果を招いてしまいます。

 この解決策として、後工程の必要とする品種と量を必要とするときに、後工程の生産能力に合わせてモノを送る「後工程引き取り」というアイデアが生まれます。運搬作業も含めてですが、前工程から後工程へ送るという従来の方式を、後工程が必要なときに必要なモノを必要な量だけ前工程に取りに行き、前工程は後工程に引き取られた量だけ造る方式にすれば、前述のいろいろな従来の問題点が解決されることになります。

 そして、この生産方式によりモノの仕掛かり量が激減することで、管理工数も極端に減少します。ここでは説明を割愛していますが、この後工程の引き取り量とタイミングをコントロールしているのが、いわゆる「かんばん」と「運搬」です。

3.3 工程を流れにする

 「流れにする(流れで造る)」を一言でいえば、モノが工程間を停滞なく進んでいくことで、職場内には加工(作業)中のモノだけしか存在しない状態を創り出すことです。そのためには、各工程の作業時間間隔を均一化(ムラなく)し、機械や作業工程を工程順に配置して、川の流れのように一定速度(具体的にはタクトタイム)でモノが滞ることなく流(生産)していくようにします。実際には、作業上のいろいろな制約もあり困難なことも多く発生しますが、いかにこの状態に近づけていくかという努力をしていくことが重要です。

 仕掛かり在庫を限りなくゼロに近づけることで“工程を流れにする”ことができ、ムダのない最短のリードタイムによる生産を達成することが可能となります。「工程を流れにする」ことの阻害要因としては、段取り作業、ロット生産、設備故障、不良発生、各工程間の能力バランスの不均衡などが挙げられます。しかし、これらの項目は、言い換えれば「工程を流れにする」ための改善項目でもあります。

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