2017年の戦略的テクノロジー・トレンドのトップ10を発表製造マネジメントニュース

ガートナーは、2017年に企業や組織にとって戦略的な重要性を持つと考えられるテクノロジー・トレンドのトップ10を発表した。高度な機械学習とAI、インテリジェントなアプリやモノなどが挙げられている。

» 2016年11月16日 09時00分 公開
[MONOist]

 ガートナーは2016年10月18日、2017年に企業や組織にとって戦略的な重要性を持つと想定されるテクノロジー・トレンドのトップ10を発表した。高度な機械学習とAI、インテリジェントなアプリ/モノなどをトレンドとして挙げた。

 ガートナーでは、テクノロジーが出現直後の状態を脱し幅広く利用されて、より大きな可能性を持つようになったトレンドや、急成長しているトレンドを「戦略的テクノロジー・トレンド」と呼んで、その動向を発表している。

 2017年のトレンドは、「どこでもインテリジェンスとなる世界」「デジタル・メッシュ」「デジタル・プラットフォーム革命」の3つに区分している。

 まず、「どこでもインテリジェンスとなる世界」に属するのが以下の3つだ。

1.高度な機械学習とAI

 人工知能(AI)と高度な機械学習(ML)の領域では、従来のルール・ベースのアルゴリズムを超えたテクノロジーが登場しつつある。ロボット、自律走行車、家電などの物理的デバイスや、仮想パーソナル・アシスタント(VPA)、スマート・アドバイザーといったアプリやサービスにインテリジェントな実装を生じさせる。

2.インテリジェントなアプリ

 ユーザーの仕事の効率を高めるVPAや、セールスや顧客サービスなどに特化された仮想顧客アシスタント(VCA)などのインテリジェントなアプリは、仕事の本質とワークプレースの構造を変革する可能性を持っている。同社ではこうしたAIを取り込んだアプリやサービスに向け、AIと機械学習のアプリケーションを継続的に進化させ拡張させていく長期的なトレンドが形成されると見ている。

3.インテリジェントなモノ

 これは、ドローンや自律走行車、スマート・アプライアンスなど応用AIや機械学習を発展させ、周囲の環境や人と自然なやりとりができる物理的なモノを指す。インテリジェントなモノは、その普及に伴い、スタンドアロン・モデルからコラボレーティブ・モデルへ移行すると予測されている。

 次に、「デジタル・メッシュ」として以下の3つを挙げた。

4.仮想現実と拡張現実

 仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの没入型テクノロジーは、個人間および個人とソフトウェア・システムとのやりとりの方法を変革する。これにより消費者およびビジネス・コンテンツとアプリケーションの環境は、2021年までに劇的に進化し、VRとARの能力は、デジタル・メッシュと融合して、よりシームレスなデバイス・システムを形成する。

5.デジタル・ツイン

 デジタル・ツインは、センサー・データを使って状態の把握、変化への対応、運用の改善、付加価値を提供する、物理的なモノやシステムの動的なソフトウェア・モデル。企業や組織は、設備サービスや製造工程の計画、工場の運営、設備の障害予測や運用効率の向上にデジタル・ツインを使うようになる。デジタル・ツインは、最終的には有能な個人と従来の監視デバイスやコントローラーの代替となると予測される。

6.ブロックチェーンと分散型台帳

 ブロックチェーンは、Bitcoinや他のトークンによる価値交換取引が連続的にブロックへとグループ化された分散型台帳の一種。そのコンセプトは運用モデルの変革に有望であるとして、支持を得つつある。金融サービス業関連で話題にされるが、他にも楽曲配信やID検証、タイトル登録、サプライチェーンなどが考えられる。

 「デジタル・プラットフォーム革命」の区分には、次の4つが入った。

7.会話型システム

 現在は、チャットボットや、マイク対応デバイス(スピーカ、スマートフォン、タブレット端末、PC、自動車など)に焦点が当てられている。今後、デバイス・メッシュの進化に伴い、デバイス間のより大規模で協調的なやりとりが出現し、継続的で環境に溶け込んだ新しいデジタル・エクスペリエンスの基礎が築かれるとしている。

8.メッシュのアプリ&サービス・アーキテクチャ(MASA)

 モバイル・アプリ、デスクトップ・アプリ、IoTアプリがバックエンド・サービスのメッシュにリンクして、「アプリケーション」としてユーザーに見えるモノを形成する。ユーザーは、デスクトップ、スマートフォン、自動車など異なるチャネルを横断する中で継続的なエクスペリエンスを手にすることができる。

9.デジタル・テクノロジ・プラットフォーム

 ガートナーは、新たなデジタル・ビジネスモデルを生み出すのに特に重要となるポイントとして、以下のデジタル・テクノロジ・プラットフォームを挙げている。情報システム、カスタマー・エクスペリエンス、アナリティクスとインテリジェンス、IoT、ビジネス・エコシステムの5つだ。

10.アダプティブ・セキュリティ・アーキテクチャ

 インテリジェント・デジタル・メッシュと関連するデジタル・テクノロジ・プラットフォーム、アプリケーション・アーキテクチャによって、かつてないほど複雑なセキュリティの世界が形成される。同社では、IoTプラットフォームの実装時には、確立されているセキュリティ技術を使用すべきだが、IoTのエッジは新たな脆弱性をもたらす部分でもあるため、新しい対策ツールとプロセスが必要となることを考慮する必要があるとしている。

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