トヨタの「SKB」はなぜ車内に置くだけでカーシェアできるようになるのか : 車載情報機器
トヨタ自動車は、東京都内で開催した「コネクティッド戦略説明会」において、車内に置くだけでカーシェアできるようになるデバイス「スマートキーボックス(SKB)」を披露した。
トヨタ自動車は、2016年11月1日に東京都内で報道陣向けに開催した「コネクティッド戦略説明会」 において、カーシェアを容易に行えるようにするデバイス「スマートキーボックス(SKB)」を披露した。
トヨタ自動車の「SKB」(左)とSKBを操作するスマートフォンアプリの画面(右)(クリックで拡大)
SKBは、カーシェアにおいて、安全かつ安心なドアロックの開閉やエンジン始動を実現するためのデバイスである。従来、鍵の受け渡しは、車両の所有者がコンソールボックス内に鍵を置くなどしてカーシェアの利用者への受け渡しを行うか、車両制御系のネットワークであるCAN(Controller Area Network)に特殊な通信装置を直接接続することで鍵の開閉などを行っていた。この手法はセキュリティ面での課題が指摘されている。
この課題を解決するために、車両を改造することなく、車両の所有者が端末を車内に設置するだけで、カーシェアの利用者はスマートフォンのアプリで鍵の開閉、エンジン始動ができるように開発されたのがSKBである。
SKBの仕組みはシンプルだ。SKBには、最近の車両であれば標準装備になっているキーレスエントリー(スマートキー、インテリジェントキーとも)と同じ機能が組み込まれている。ドアの鍵の開閉とエンジン始動の制御は、このキーレスエントリーによって行う。カーシェアの利用者は、スマートフォンのBluetooth Low Energy(BLE)通信の機能を使ってSKBにアクセスし、スマートフォンアプリからキーレスエントリーの機能を操作する。
「SKB」の通信の仕組み(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
「コネクティッド戦略説明会」では「ヴォクシー ハイブリッド」を使って「SKB」のデモを披露した。SKBはダッシュボード内に無造作に置かれている(クリックで拡大)
SKBとスマートフォンの間でやりとりするBLE通信の暗号キーは、トヨタ自動車が構築を進めている、モビリティサービス向けのさまざまな機能を備えた「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」から提供される、
つまりSKBの消費電力は、キーレスエントリーやスマートフォンとのBLE通信などが主体になるのでかなり抑えられることになる。「2017年1月からの米国Getaround(ゲットアラウンド)の実証プログラムでは、車両から電源を持ってくるのか、電池で済ませるのかなど、電源関連の検証が重要な項目になっている」(トヨタ自動車の説明員)。
また、国内でもグループ会社のトヨタレンタリースを通じて実証プログラムの実施を検討している。「カーシェア事業者だけでなく、社用車を複数人で利用している企業などからの需要も大きいと考えている」(同説明員)という
スマートエントリーがあれば鍵を開けなくてもクルマに入れる!?
携帯キーを身に付けている状態で車両に近づくだけでドアの開錠を行えるスマートエントリー。極めて利便性の高い電装部品だが、無線を用いていることによる使用上の注意点もある。
クルマのスマートキーは今後どのように賢くなるのか
コンチネンタルは、Bluetooth Low Energyとスマートフォンを活用した次世代のクルマの鍵を開発している。ドライバーが乗車しようとして歩いてくるのを識別して解錠したり、ドライバーが誰であるかを認識して乗り込む前にシートの位置やエアコンの設定を自動で行ったりできるようにする。また、スマートフォンがそのままクルマの鍵になる技術も2016年末に向けて開発中だ。
スマートキーで酒気帯びチェック、規定以上の濃度ならクルマは動かない
日立製作所と本田技術研究所は、マウスピースなしで利用可能なポータブル呼気アルコール検知器を開発/試作した。息を吹きかけると約3秒で呼気中のアルコール濃度を高精度に計測できる。スマートキーへの組み込みが可能で、規定以上のアルコール濃度を検知した場合にエンジンを強制的に作動させないシステムを構築することもできる。
トヨタのコネクテッド戦略は3本の矢、「IoT時代の製造業の在り方を切り開く」
トヨタ自動車は、東京都内で会見を開き、同社のコネクテッド戦略を説明。2016年4月に新たに発足したコネクティッドカンパニーのプレジデントを務める専務役員の友山茂樹氏は「IoT時代の新しい製造業の在り方を切り開くため、モビリティサービスのプラットフォーマーになる」と強調した。
トヨタがカーシェアを推進、車内に専用端末を置くだけで利用可能に
トヨタ自動車は、カーシェアなどのモビリティサービスの普及を踏まえ「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」の構築を推進すると発表した。併せて、カーシェアで安全かつ安心なドアロックの開閉やエンジン始動を実現するためのデバイス「スマートキーボックス(SKB)」も開発した。
ボルボのクルマはスマホでドア開錠やエンジン始動が可能に、2017年から
Volvo Cars(ボルボ)は、物理キーやスマートキーなどを使わずに、スマートフォンだけで自動車のドアの開錠やエンジン始動が可能になるキーレスシステムを2017年から市販車に導入すると発表した。
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