日立が実現したスマート工場、生産リードタイムを50%削減へスマートファクトリー(2/2 ページ)

» 2016年10月27日 13時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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大みか事業所での具体的な取り組み

 具体的には「RFID生産監視システム」により各工程の進捗を把握し、遅延が発生した工程の対策を検討できるようにする。さらに「作業改善支援システム」で作業時間が通常よりも長くかかっている生産工程を検出し、画像分析などにより問題点を可視化する。さらに、蓄積された改善結果は「モジュラー設計システム」を通じて製品設計などに反映する。これら3つのシステムから得られる生産実績データと納期などの情報をもとにした「工場シミュレーター」で最適な生産計画に基づいて、人員や部品などのリソースを最適に配分することで、生産リードタイムを短縮するとともに、部品の早期入荷を抑制する。

 日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 大みか事業所 制御プラットフォーム統括本部 生産統括本部 担当本部長の大津英司氏は「RFIDによる生産監視は7つのラインで、作業改善支援システムは4つのラインで実施している。これらにより作業の遅延などの状況を把握し、作業終了予測などを事前に把握することで、遅れている生産ラインに最初から多くの人員を配置したり、生産目標数を下げたり、最適化を行ったりすることができる」と述べている。

photo 工場シミュレーターによる生産工程の最適化(クリックで拡大)出典:日立製作所

 大みか事業所では実際に、4つのシステムで情報を循環。生産計画の進捗把握と対策や改善、その改善結果の製品設計へのフィードバック、より精度の高い生産計画を立案のサイクルを回すことで生産の高効率化を実現した。その結果、制御機器の主力製品の生産リードタイムを50%短縮することに成功した。大津氏は「設計工程で20%、調達で20%、製造で10%を削減したという形だ」と述べている。

 今後、日立製作所では大みか事業所で確立した高効率生産モデルの適用製品を拡大する計画。さらに、「工場シミュレーター」を皮切りに、IoTプラットフォーム「Lumada」のソリューションコアとして2017年度に提供を開始する計画としている。

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