CPS/IoT展「CEATEC JAPAN 2016」で開催された「日独シンポジウム―インダストリー4.0/IoT協力」。同セミナーの様子を紹介する本連載だが、3回目は日独それぞれで大きな課題だとしている「国際標準化」の動向について紹介する。
CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT(モノのインターネット)展へと生まれ変わった「CEATEC JAPAN 2016」(千葉市、幕張メッセ、会期:2016年10月4〜7日)では2016年10月5日に、日本とドイツのIoTおよびインダストリー4.0に関する連携を紹介するセミナー「日独シンポジウム―インダストリー4.0/IoT協力」を開催した。同セミナーの様子を紹介する本連載だが、最終回の今回は日本とドイツともに高い関心を示す「国際標準化」の動向について、お伝えしたい。IICとインダストリー4.0の両方で標準化を進めるマーク・クロフォード氏(SAP)とロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)標準化アクショングループの野中洋一氏(日立製作所)の話を紹介する。
インダストリー4.0など第4次産業革命などで実現する世界は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)により現場の末端の情報を取得し、それらを集めて分析し得た結果を現実世界にフィードバックすることで、新たな価値を生むというものである。そのためには、それぞれの異なるシステム間の情報を伝えられるようにする「つながる化」が重要になる。そして、そのインタフェースを構築するために「国際標準化」が必要になるというわけである。
国際標準化に向けた取り組みはドイツなどを含む欧米企業が得意で、日本企業はよく煮え湯を飲まされてきた。実際にドイツはインダストリー4.0においても「国際標準化」を早くから重要なポイントの1つとおいて、EU(欧州連合)への働きかけなども含めたさまざまな活動を行ってきている。さらに、米国の大企業から生まれたインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)や、中国政府との連携なども進めるなど、国際的な標準の枠組み作りに取り組んでいる。
クロフォード氏はまずIICの活動について「米国を代表する産業用IoTの団体だと捉えられがちだが、現実的には運営委員会の半分以上が米国以外の企業となっており、グローバルの組織であるといえる」と述べる。IICは2014年3月に米国のAT&T、シスコ、GE、インテル、IBMの5社が設立した団体だが、2年で30カ国以上から企業が参加する団体となっている。日本に対しても経済産業省と総務省が共同で設立した「IoT推進コンソーシアム」と提携することを2016年10月3日に発表※)するなど、国際連携の場作りを進めている。
※)関連記事:IoTで新たに日米連携、日独米の協力体制構築へ
一足早く連携を発表した、IICとインダストリー4.0の推進組織「プラットフォーム インダストリー4.0」では、既に標準化に向けたすり合わせを開始している。具体的にはそれぞれの「リファレンスアーキテクチャ」をすり合わせ「共通化できるところはしていこう」という取り組みを進めているのだ。
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