インダストリー4.0を巡る国際標準化の動きはどうなっているのかインダストリー4.0/IoT協力(3)(2/4 ページ)

» 2016年10月21日 13時00分 公開
[三島一孝MONOist]

リファレンスアーキテクチャの価値

 標準化の問題では、個々の技術仕様に目が行きがちだが、インダストリー4.0のようにさまざまな業務やさまざまなプロセスの技術を規定する必要がある場合は、全体的な設計図が重要になる。こうした取り組みの進め方は、ICT(情報通信技術)を活用して電力網を効率化する「スマートグリッド」で使われたもので、インダストリー4.0を含む「スマートファクトリー」についても同様のアプローチがとられている。

 プラットフォーム インダストリー4.0では、2015年にインダストリー4.0で描く世界を実現するリファレンスアーキテクチャモデル「Reference Architecture Model Industrie 4.0(RAMI4.0)」を発表。国際標準化の舞台でも同モデルをベースとした話を進めている。同モデルが特徴的なのは、3次元のモデルを描き、その中でバリューネットワーク全体の「論理的なレイヤー構成」を示している点である※)

※)関連記事:インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開

photo プラットフォームインダストリー4.0が推進する「Reference Architecture Model Industrie 4.0(RAMI4.0)」(クリックで拡大)出典:プラットフォームインダストリー4.0

 一方のIICも2015年に「IIC Reference Architecture(IIRA)」を発表しており、同アーキテクチャをベースとした標準化への取り組みを進めている。

photo IICが推進する「IIC Reference Architecture(IIRA)」(クリックで拡大)出典:IIC

米独で進むリファレンスアーキテクチャのすり合わせ

 これらに対しプラットフォームインダストリー4.0とIICでは、2015年11月には、スイスのチューリッヒで標準化実現に向けたそれぞれのリファレンスアーキテクチャモデルのすり合わせとマッピングを実施。これにより「RAMI4.0とIIRAは違いはあるものの、合わせていけるということが判断できた」とクロフォード氏は語っている。2016年5月からはあらためて標準化に向けての話し合いを開始し、同年6月には新たに共同ワーキンググループ(WG)を設置して、具体的なソリューション構築に取り組み始めている。

 クロフォード氏は「アーキテクチャをそろえていくことや、セキュリティ要件を詰める作業、相互運用性の確保などの話し合いを進めていく。それぞれの要件をまとめ、標準化を進めることは可能だと考えている」と述べている。

photo RAMI4.0とIIRAのマッピングの取り組みの一部(クリックで拡大)出典:SAP

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