インダストリー4.0を巡る国際標準化の動きはどうなっているのかインダストリー4.0/IoT協力(3)(3/4 ページ)

» 2016年10月21日 13時00分 公開
[三島一孝MONOist]

インダストリー4.0標準化、日本の取り組み

 こうしたドイツなどの動きに対し、日本も手をこまねいているわけではない。既にIEC(国際電気標準会議)やISO(国際標準化機構)などの「インダストリー4.0/スマートマニュファクチャリング」グループでの話し合いに参加している。一方で、2016年4月に発表されたプットフォーム インダストリー4.0とロボット革命イニシアティブ協議会の連携の覚書の中でも「国際標準化」をテーマとして話し合いを開始したところである。

photo ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)標準化アクショングループの野中洋一氏(日立製作所)

 ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)標準化アクショングループの野中洋一氏(日立製作所)は「政府などと協力したトップダウンの取り組みと、企業などが取り組むボトムアップのアプローチのそれぞれで取り組みを進めている。『日本の製造業の強み』が最も重要なので、これらが生かされる形の標準化を進めていかなければならない。国内の要件をまとめて国際標準にどう持っていくのか、ということが重要である」と述べている。

 日本とドイツの関係でいえば、先述した2016年4月の6項目の覚書※)に「国際標準化への取り組み」が盛り込まれたことにより、これらを具体的に推進する活動が開始。2016年9月29日に最初のビデオ会議が行われ、今後対面での会議も実施していく予定だという。

photo 国際標準化への協力に向けたドイツ側のタスクフォースのメンバー(クリックで拡大)出典:RRI

日本も参加する国際標準組織での取り組み

 一方で、国際標準組織での取り組みとしては、既にIECやISOでの話し合いが始まっている。IECでもISOでも具体的な技術の審査を行う「TC65」や「TC184」では議論が収まらないこともあり、IECでは「SG8 Industry 4.0 - Smart Manufacturing」、ISOでは「SAG Industry 4.0 - Smart Manufacturing」という戦略グループにおいて、標準化に向けた主要な方向性と、現存する規格のマッピングなどの取り組みを行っている。

 野中氏は「それぞれ約1年間議論を進めてくる中で、基本的な方針は定まってきた。具体的にどうするか、というのが次の1年間のアクションになってくる」と述べている。

photo IECとISOにおけるスマートマニュファクチャリングの標準化への取り組み(クリックで拡大)出典:RRI

 これらの話し合いの中でIECではまず次世代工場に対する白書を2015年10月にリリースしているが「この内容の約4分の1は日本からの提案が採用されたものになる」と野中氏は述べている。

 さらにISOで行っているRAMI4.0とIIRAのマッピングについては、比較分析のリーダーを日本が務めており、ISOの標準化作業に関する中立的な判断を日本が行ったという。3500以上の規格を洗い出し、デジタルエコシステムの実現を目指す国際標準化の議論を進めているとしている。

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