FC成型ならどうか。直径4mほどの、メリーゴーランドのように回転する特殊な装置の中、専用樹脂でできたメス金型の上に、さきほどのただ重ね合わせたたけのプリプレグ材を正確に載せる。張り合わせるのではなく、ただ載せるだけなので、とても簡単だ。
後は扉を閉めてスイッチを押すのみ。“メリーゴーランド”が1周するうちに、上からオスの金型が降りてきて、先ほど載せておいた素材に覆い被さり、真空引きしたのちに、プリフォームされる。ここまで、わずかに10分。
加圧と加熱を行うプレス装置に先ほどプリフォームした素材を設置する。金型はもちろん金属製だ。115℃前後で加熱しながら300barの圧力を10分間掛けて完成となる。
プリプレグ素材の配置から、プリフォーム、プレス行程を経て完成に至るまで、わずかに20分。FCの成型品が仕上がった。マーブル模様の仕上がりそのものは、5時間かけて作ったオートクレーブ成型品よりも格段に美しい。
FC成型は将来、メインの技術として認められるのかどうか。その鍵は、ユーザーの側にあると言えそうだ。PA成型のカーボン模様こそ最上、という信仰にも似た根強い意識を変えられるかどうかに掛かっていると筆者は思う。ランボルギーニが今、FC成型を積極的に高額オプションの装飾パーツに使っている背景には、われわれの側の意識改革も意図しているとみて良さそうである。
そして、デ・ソト氏はこう言い切った。「この5年以内に自動車産業から、旧来からの手間暇掛かるPA成型は、消えてなくなる」、と。
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