NECでは今後もさらに研究を重ね、2020年までに製品での実用化を目指したパートナー連携を進めていくという。具体的には、材料メーカーとの提携を進め、高級自動車の内装部材、装飾性を要する高級建材・電子機器などの耐久製品用途での利用を目指す。
新たなバイオプラスチックが実用化されれば、通常の射出成型により複雑な形状のさまざまな漆器風製品を量産することが可能となる。現状では石油系プラスチックよりも2倍以上の価格がするが、生産量が増えると漆器風製品の低コスト化なども実現可能だ。位地氏は「バイオプラスチック市場で環境以外の新たな付加価値を生み出すことで、年間数十万トンクラスの新たな需要が生み出せると考えている。これによりコストダウンなども実現可能だ」と力を込める。
一方で、漆の美しさを持つバイオプラスチックによる量産が行われると、漆職人の仕事を奪うことにつながるとも見られるが、その点については、NECの位地氏は「基本的にはバイオプラスチックは耐久消費財や建材など従来の漆器では対象とされなかった領域で使用されるもので住み分けができる」と主張している。
下地氏も「現在でも若い層では漆そのものへの認識がなく、お椀などでもプラスチック製品が使われている現状がある。ただ、バイオプラスチックは漆製品ではないが、今回開発を進めてきた『漆の美しさ』への取り組みは、漆文化があったからこそ生まれてきたものである。まさに日本の文化ならではのものだ。こうした製品により世界を含めて漆の価値や美しさを再認識してもらうことで、オリジナルの天然漆の製品にも再び光が当たると考えている」とその価値を強調している。
富士ゼロックス、木質系非可食バイオベースプラスチックを開発
自動車開発を革新する先進プラスチック技術
“カッコイイ”トヨタの「SAI」、樹脂部品の20%がエコプラとリサイクル材に
バイオプラスチックの活用を進めるトヨタ自動車
実用化はどこまで? プリンテッド・エレクトロニクス業界の開発競争を読む
熱硬化性と熱可塑性の長所を両立した炭素繊維強化プラスチック用の新材料Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク