今回の発表に合わせて提携を決めたスタートアップ企業は、Velodyne(ベロダイン)、SAIPS、Nirenberg Neuroscience(ニーレンバーグ・ニューロサイエンス)、Civil Maps(シビル・マップス)の4社である。
ベロダインは自動運転車の周辺を検知するセンサーとして搭載されているライダーの開発企業だ。Google(グーグル)の自動運転車をはじめ、屋根の上に乗っているコップ型のセンサーはほとんどがベロダイン製といわれている。フォードはベロダインに出資し、量産に最適なライダーの開発を進める。
イスラエルで画像認識と機械学習を手掛けるSAIPSはフォードが買収することとなった。今後は自動運転車向けに、画像認識のアルゴリズムやディープラーニングの技術開発を行う。
脳科学者のシーラ・ニーレンバーグ氏が設立した、画像認識を手掛けるニーレンバーグ・ニューロサイエンスとの間では排他的ライセンス契約を結ぶ。同社の技術を使えば、自動運転車の運転を、人間的な知性を持つバーチャルドライバーに任せることも可能になる。
自動運転車に必須とされる高精度3次元地図を手掛けるシビル・マップスにも出資する。シビル・マップスの技術を使えば、従来よりも効率的に高精度3次元地図を作成できるようになるという。
シリコンバレーの研究開発拠点については、現在の拠点に隣接する土地約1万4000m2に2つの建屋を建設する。2017年中ごろに完工する予定。現在の拠点は130人以上の人員が業務に従事しているが、拠点の規模、人員数とも倍増となる見込みだ。
フォードが2021年に量産する完全自動運転車の自動運転レベルは「SAEのレベル4」となっている。SAEは、レベル0を「No Automation(自動化なし)」、レベル1を「Driver Assistance(運転支援)」、レベル2を「Partial Automation(部分的自動化)」、レベル3を「Conditional Automation(条件付き自動化)」、レベル4を「High Automation(高度自動化)」、レベル5を「Full Automation(完全自動化)」としている。
フォードが目指すSAEのレベル4、High Automationでは、自動車の運転操作(Dynamic driving task)は全て自動運転車が行うものの、運転の開始、目的地や走行ルートの設定、運転の終了は、乗員が行うことになっている。レベル5は、レベル4で乗員が行う作業も含めて、全てが自動運転になる。
現在広く知られている自動運転レベルとしては、SAEの他に、米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)のものがある。NHTSAはレベル0〜4に分かれており、完全自動運転はレベル4だ。NHTSAのレベル4をさらに細かく分けると、SAEのレベル4とレベル5になると考えればよい。
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