特にファナックが期待を寄せているのが、NTTの持つエッジコンピューティング技術である。NTTでは、2011年からエッジコンピューティング技術を研究開発し、製品化を進めてきた。「2011年に商用化したホームICTプラットフォームサービス『フレッツジョイント』や2015年に商用化したエッジ分散型Webプラットフォーム『ひかりTVブラウザ』など、既にエッジコンピューティング技術を活用した商用サービスがある点がNTTの強みだ。実ビジネスベースでの知見を蓄積できている」と篠原氏は強みを述べる。
具体的に新たに「FIELD system」に付加する機能としては「アプリケーション配信機能」と「IoTデータ交流機能」を加えるという。同様の機能や技術などは既にコアパートナーとして協業しているシスコなども保有しているが「『FIELD system』を実際に製造現場で活用できるパッケージシステムとして仕上げていくためには、技術や機能を最適な形に結び付けて汎用性や応用力のあるシステムとして組み上げていかなければならない。ファナックだけではこうしたパッケージシステムとして組み上げていくノウハウはなく、実現するのに時間がかかる。NTTグループではこうしたノウハウが豊富にあり、機能そのもの開発も行える他、機能同士の結び付きなども開発することができる。その点が大きな魅力となった」と稲葉清典氏は述べている。
また「FIELD system」と実際の現場のシステムなどを組み合わせるインテグレーターとしては、NTTコミュニケーションズなどが貢献する。12カ国でクラウドサービスを展開し、世界196カ国・地域で展開するグローバルの構築・運用力を発揮していく方針だ。NTTデータは、アプリケーションの開発などを進めていく方針だ。
ファナックでは2015年から2016年にかけて、PFNやシスコとの協業を発表し、4月にPFNとロックウェルを加えて「FIELD system」の立ち上げを発表。そして今回、NTTグループとの協業を行うなど矢継ぎ早に提携を進めてきている。
ただ稲葉善治氏は「『自律する工場』を目指して進めてきたコアとなる技術リソースはそろいつつある。コアパートナーのような大きな協業についてはNTTグループで最後になるだろう。今後はインテグレーターパートナーやデバイスパートナー、アプリパートナーなどとの関係を拡大することで機能強化を進めていく方針だ」と述べている。「FIELD system」については、2016年8月29日のパートナーイベントでAPIを公開した後、2016年末までに第1弾の商用化サービスを提供するとしている。
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