オムロンの“標高10mのIoT”は製造現場を明るく照らすか(前編)スマートファクトリー(1/3 ページ)

オムロンは「IoT時代のFA」をテーマに記者会見を開催した。インダストリー4.0などIoTの製造現場での活用が進む中、同社の考えるFAの将来像と戦略、またそれを実践する製造現場などを紹介した。前編では同社の考えるIoT戦略について、後編では製造現場におけるIoTの自社実践の様子についてお伝えする。

» 2015年10月01日 14時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 オムロンは2015年9月29日、「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)時代のFA(Factory Automation)」をテーマに記者会見を開催。IoTにより市場の変革が進む中、同社が目指すIoT活用と、製造現場における将来ビジョンなどを示した。また、その自社実践として展開する製造現場の様子などを紹介した。本稿では前編でオムロンのビジョンを、後編で自社実践を行う製造現場とその効果について紹介したい。

製造業革新に貢献する3つの技術

 ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアルインターネットコンソーシアムなど、IoTを含むICTによる製造業革新に取り組む動きが拡大している。従来は低い人件費による人海戦術に頼ってきた中国なども製造業強化の国家戦略「中国製造2025」を打ち出し、その中で「ITと工業の融合」をテーマに挙げ、同様の取り組みを加速させる動きを示している。これらの国家政策としてのモノづくり革新の動きが広がりを見せる中、この流れを見据えてどう取り込んでいくかということを考えていかなければならない。

 現在の製造業を取り巻く変化の動きに対し「チャンスだととらえている」と語るのがオムロンだ。

photo オムロン 執行役員で商品事業本部長の池添貴司氏

 オムロンは、センサーやリレー、コントローラーなど工場のオートメーション関連技術の主要企業である。新たな流れに対し、オムロン 執行役員で商品事業本部長の池添貴司氏は「現在の製造業を取り巻く市場環境は3つのトレンドによって動いている。1つが『モノづくりの高度化・複雑化』、2つ目が『グローバル生産の定着』、3つ目が人手不足などを含む『作る人の変化』だ。これらの変化に対し、技術的に効果的に対応できるものが出そろってきていることが革新の動きにつながっている」と述べる。

 その革新の中でポイントになる技術が、ビッグデータを中心とする「ICT(情報通信技術)」、小型化やローコスト化が進む「ロボティクス」、「AI(人工知能)」の存在だという。

 「高度化やグローバル化、人手不足の問題など、モノづくりにおけるニーズは以前からあったものだ。これらがICTやロボティクス、AIの進化により、解決できる可能性が生まれてきた。オムロンは、製造現場の制御に関わる幅広い機器を提供する世界でもユニークなポジションにある。これらの技術進化を取り込み、オムロン自らの工場などで自社実践し、最適な価値を提供できるソリューションを構築することで、多くの製造現場にとって効果のある新たな価値を提供できる」と池添氏は述べている。

 では、製造業革新の時代に、具体的にオムロンではどのような取り組みで提案を進めていくのだろうか。

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