オムロンの“標高10mのIoT”は製造現場を明るく照らすか(前編)スマートファクトリー(2/3 ページ)

» 2015年10月01日 14時00分 公開
[三島一孝MONOist]

インダストリー4.0が目指す3つのポイント

 ドイツのモノづくり革新プロジェクトである「インダストリー4.0※)が火を付けた製造業革新の動きだが、その目指すところは「スマートファクトリー」の実現だとされている。オムロンでは、このスマートファクトリーで実現が期待されているポイントとして以下の3点を挙げる。

  1. 効率の向上
  2. Time to market
  3. Production on Demand

※)関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】

 既にインダストリー4.0やその他の活動でも指摘されているが、これらのポイントを抜本的に向上するために必要となるのが「サイバーフィジカルシステム(Cyber Phisical System(CPS)」である。サイバーフィジカルシステムとは、現実の世界の情報を、サイバー空間に取り込み、コンピューティングパワーを活用して分析し、そこで得られた最適な結果を、現実の世界にフィードバックするというシステムのことだ。

 この実現のためには、サプライチェーンのデータ基盤を統合する「情報の水平統合」と、自社内で製造現場のセンサーや制御システムなどから上流の基幹システムまでを結ぶ「情報の垂直統合」、仮想や現実の世界の統合などが必要だといわれている。

“四現主義”を超える

photo オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー商品事業本部 企画室長の大塚隆史氏

 オムロンは「“四現主義”を超える」を掲げて、これらに取り組む。同社インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー商品事業本部 企画室長の大塚隆史氏は「製造現場では『現場』『現物』『現実』という『三現主義』がよく使われるが、オムロンではこれに『現在』を加えた“四現主義”というものを訴えている。現在、過去、未来という時間軸を示すものだ。この“四現”に縛られないモノづくりを実現することが製造革新の価値だといえる」と述べる。

 例えば、情報システムの水平統合を実現することで、日本から海外の工場の様子をリアルタイムで確認し、改善活動などを行えるようになる。これは「現場を超える」ということを実現する。また、IoTによってデータを取得し製造機械などの故障を予知する予防保全などであれば「現在を超える」ということを意味する。

photo オムロンが考えるIoT/インダストリー4.0時代に求められるキーテクノロジー(クリックで拡大)出典:オムロン

1970年から提唱する「SINIC理論」

 オムロンでは、1970年に社会と科学、技術は相関性を持って変化するということを説明する未来予測論「SINIC理論」を提唱。現在も経営の羅針盤として使い続けている。SINIC理論のSINICは「種(Seed)」「革新(Innovation)」「必要性(Need)」「刺激(Impetus)」「円環的発展(Cyclic Evolution)」の頭文字で構成された造語である。同理論が提唱されて既に45年になるが、現在の社会や技術の変化を的確に言い当てている。大塚氏は「SINIC理論で見た場合、現在は『最適化社会』に当たる。これは人間と機械が理想的に調和した社会を示している。人とロボット・機械が共に働く製造現場の実現を目指す」と語る。

photo オムロンの「SINIC理論」(クリックで拡大)出典:オムロン

 今後、高速・高精度・情報化による加工系機械の進化と、人と機械との協調による新たなオートメーションの創出、という2つの方向性で「オートメーションの進化」が起こるとオムロンは予想する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.