産業用ロボットやFA機器などを展開するファナックは、NTTグループ3社と提携し、IoTによる自律した工場を実現するためのプラットフォーム「FIELD system」の早期実現に向け、協業を行う。
ファナックは2016年7月28日、NTTおよびNTTコミュニケーションズ、NTTデータのNTTグループ3社と提携し、IoTによる自律した工場を実現するためのプラットフォーム「FIELD system」の早期実現に向けた協業を行うことを発表した。
ファナックでは2016年4月に米国のネットワーク関連企業Cisco Systems(以下、シスコ)、米国の産業オートメーション関連企業のRockwell Automation(以下、ロックウェル)、深層学習技術などを開発する人工知能関連ベンチャーPreferred Networks(以下、PFN)と提携し、製造現場向けのIoT(Internet of Things、モノのインターネット)プラットフォーム構築で協業していくことを発表※)。新しく展開するプラットフォームを「FIELD system」と名付け、開発を進めているところである。
※)関連記事:製造業IoTに新たなデファクト誕生か、ファナックらが人工知能搭載の情報基盤開発へ
「FIELD system」は、ファナックなどが提供するCNC(Computerized Numerical Control)や産業用ロボット、各種センサーなどのデータを集積し、一定の分析および制御を実現するIoTプラットフォームである。特徴となるのが、多くの情報を収納でき大規模な演算を行えるクラウド領域と、現場情報となるエッジの中間である「Fog」領域※)に設置している点となる。これにより、データの収集や分析をより現場に近いところで行えるようになるため、リアルタイム性を持った処理なども可能となる。
※)Fog Computing:シスコが提唱した概念で、現場を示すエッジ領域とクラウドで行う処理を役割分担して行うため中間領域で情報の価値を選別する役割を担わせるというもの。リアルタイム性が必要な場面やクラウドにあえて情報を送る必要がない場合は、Fog領域から情報をエッジ側に直接フィードバックし自律制御させることなどが可能。
従来の製造現場IoTといえば、データを吸い上げ閲覧するというような「見える化ツール」にとどまっていたケースが多かったが「機器のリアルタイム制御など、物理的な自動制御まで実現していく点が従来との違いだ。同プラットフォームのもと、最終的には自律的に各種情報を判断して製造する姿を目指す」とファナック代表取締役会長の稲葉善治氏は述べている。
ファナックでは「価値あるデータは現場側が生み出す」という「Edge Heavy」というコンセプトを打ち出しているが「NTTグループでも同様のコンセプトを共有しており、同じコンセプトで開発を加速できることから協業することを決めた」と稲葉善治氏は述べている。
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