「第4次産業革命は、中小企業にとってはチャンス」という説明をしてきましたが、それには、支援の動きが活発化している点なども挙げられます。
チャンスといっても、ノウハウもないしできる人もいないしなあ。お金だってかかるし、何も成果出ないとつぶれちゃいますよ。
確かにやりたくてもできないのが実情なのは分かるわ。その状況は日本だけでなくドイツも一緒なの。そういう状況を解消するために、推進団体や政府は特に中小企業に向けた支援を急速に充実させ始めているわ。
2016年4月には日本とドイツが第4次産業革命に対して連携する覚書を締結しましたが、その中でも中小製造業への支援は重要課題の1つとして挙げられています。実際に、経済産業省が関わる第4次産業革命の推進組織「ロボット革命イニシアティブ協議会」の中の「IoTによる製造ビジネス変革WG」では、さまざまな中小企業支援施策を打ち出しています。
同WGでは、中小製造業に特有の課題を解決するために、中堅・中小サブ幹事会を設置しています。2015年度は、経営課題と解決手段を整理できるフローチャートを作成した他、事例集の策定などを進めました。さらに「スマートものづくり応援隊」など直接支援できる体制なども整備しつつあります。スマートものづくり応援隊は、IT、カイゼン活動、ロボット導入の専門家で構成される中小企業支援のためのIoTコンサルタントです。さらにこれらにいつでも相談できる拠点などを整備するとしています※)。
※)関連記事:インダストリー4.0で具体化した日独連携、競合を越えた「つながる」の価値
さらに、前回紹介した「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」でも、中小企業を中心としたWG活動などを推進。2015年度の活動を評価する「IVI つながるものづくりアワード 2016」では、今野製作所を中心としたWG「中小企業を中心とする『つながる町工場』」が、最優秀賞を受賞しています。こうした動きを見ていると決して第4次産業革命は、大企業だけのものだとはいえないと思います。
IICでも多くの中小企業がさまざまなテストベッド(実証)活動に参加していマース。革新は中小企業やベンチャーから起こると考えているのでIICは中小企業の参加を重視していマース。
こうした流れを考えると、中小製造業にはかつてないほどの大きなチャンスが訪れているといえるでしょう。何もなければ受けられなかった、政府や大手企業などからの協力を駆使し、自社の業務プロセスの改善や新しいビジネスの形を模索できるチャンスがあるわけですから。
中小企業にとってのIoT実証の場として、積極的に開放することで新たなビジネスチャンスを模索するということもいいことかもしれないわね。グーチョキパーツもそれくらいやってみてもいいかもしれないわ。
次回は、第4次産業革命で注目を集める「製造業のサービス化」について紹介したいと思います。
なぜ第4次産業革命を推進する団体が乱立しているの?
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