特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2016年06月24日 14時00分 公開

第4次産業革命は大企業だけがもうかるんじゃないの?いまさら聞けない第4次産業革命(5)(2/3 ページ)

[三島一孝MONOist]

IoTでは中小企業は大手に搾取される?

 グーチョキパーツ社長に「第4次産業革命をうちもやらんといかん」といわれて以来、矢面氏は引き続き、印出氏の研究所に入り浸っているようです。今日は米国(よねぐに)さんも一緒に、前回の「グーチョキパーツもどこかに入ってみたら」について相談しているようです。

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前回、印出さんに言われたことを社長に伝えたら「すぐにどこかに入らなあかん」と騒いで大変だったんですよ。そもそも、われわれみたいな中小製造業が入って大丈夫なんですかね。


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あら、面白いことを言うわね。中小企業には中小企業なりのIoT活用があって当然なのだから、何もおかしくはないと思うけど。


 本連載では、IoTは従来データが取れなかった領域でデータをとることができ、それが分析できることが利点だとお伝えしてきました。さらに、それらは各現場や各産業など、固有のものであればあるほど効果を発揮することも紹介しています。そしてもう1点、IoTによる新たな価値で正解例が見つかっているのはごく一部ということも強調してきました。そういう意味から考えると、中小企業には中小企業なりのIoTの活用方法や最適解があるはずで、その正解例を見つけ出すという意味では、どこかの推進団体に入る利点も見つかるといえます。

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だって、大手企業に搾取されるだけになりません? IoTへの投資額も大きそうだしなあ。


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なるほどね。そのリスクはゼロではないけれど、中小企業にとってこそ「つながる」メリットは大きいと思うの。発想の転換が重要よ。


 第4次産業革命は、IoTなどICT(情報通信技術)をフル活用することで、大企業から中小企業まで全てのバリューチェーンが「つながる」ことで大きなメリットを生み出すことを目指しています。確かに、大企業のほうがIoTへの取り組みに積極的で、さまざまな実証などで先行していることは事実です。しかし、大企業にとっても、全てを1社でまかなえるわけではありません。バリューチェーンを担う中小製造業がこうした「つながる」動きに対応できなければ困ることになるわけです。そのため、大手製造業などもこうした中小企業支援に積極的な姿勢を見せています。

 一方で中小企業にとっては、「つながる」世界を実現することで、新たな取引先なども広がり、限定された商流から解放されることになります。技術力や商品力などで強みがあるのであれば、全世界に対して有利な取引が行えるようになります。

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特に大企業は企業内の利害調整や取引先のしがらみなんかも多いから、下手したら中小企業の方が先行できる可能性もあるわ。チャンスとリスクで考えたら中小企業にとってはチャンスの比率の方が高いのではないかしら。


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実際にインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)に参加している企業の半数は中小企業デース。日本の中小企業がこうした団体活動に積極的でないのは不思議デース※)


※)関連記事:「ソニーも最初は町工場だった」IoT革新は中小製造業が起こす

 インダストリー4.0などで先行するドイツでは、中小企業が先行して実現した技術も既に数多く存在します。データ連携によりノウハウを抽出されるというような危機があるのは事実ですが、そこは「強み」と「それ以外」を区分し、「強み」以外のところで有利につながっていくことで、飛躍のチャンスを得られるともいえるのです。

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